研究概要 |
骨格筋の弾性蛋白質コネクチンの研究をおこなって、次のような結果を得た。 1 ウサギとニワトリ骨格筋からコネクチン母分子(αーコネクチン,3000kDa)を始めて単離できた。今まで抽出できなかったαーコネクチンをpH7の0.2Mリン酸ナトリウム液で可溶化し,しかも4M尿素存在下でα-コネクチンをβーコネクチンから分離することに成功したCDEAEトヨパ-ル・カラム)。 2 ウサギ骨格筋から,αーコネクチンがβーコネクチン(2000kDa)に分解するさい切断される1200kDaペプチドを単離することができた。そして,この1200kDaペプチドに対するポリクロ-ン抗体を得ることができた(Pc(1200))。Pc(1200)はαーコネクチンにのみ反応し,βーコネクチンとは反応しない。 3 Pc(1200)は、免疫抗体法により、工帯に結合してサルコメアの長さに依存してその位置が変化することがわかった。さらに免疫電子顕微鏡法によって、Pc(1200)は2線とN_2線附近に結合することが示された。したがって、βーコネクチンは、工帯のN_2線附近からA帯のM線附近まで局在することになる。 4 αーコネクチン,1200kDaペプチド,βーコネクチンの円偏光二色性測定から,いずれも60%のβシ-ト,30%のβータ-ンからなることが判明した。これらはすべてフィラメント状を示す。 5 βーコネクチン・ファイバ-の赤外偏光ラマンスペクトル測定から,βーシ-ト構造がファイバ-の長軸と平行であることが示された。そこで、コネクチンの弾性はβーシ-トの折りたたまれた構造の変化によることが示唆された。少くともβーシ-トのらせん構造によるものではないことが示された。
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