研究概要 |
ヒトデ生殖巣刺激物質(GSS)のアミノ酸配列決定が目的である。精製したキヒトデGSSのアミノ酸配列分析(N末端よりAEKOVOMOSYOAVVの14残基,O印は未同定)に基きペプチドP1を合成したがこれは天然GSSの作用を代行も抑制もしなかった。然しP1に対するマウス抗血清が天然イトマキヒトデGSSの作用を中和(抗血清とGSSのイ-キュベ-ト後、2次抗体を混合して得た上清のGSS活性が減弱する)することから,分析した配列がキヒトデGSS,イトマキヒトデGSSに共通する配列を含むことが示唆された(平成2年まで)。そこで改めてアミノ酸配列分析を行い,AEKYVGMGSYMALVGR(推量も含む)配列を得,これに基いてペプチドP2を合成した。P2も天然GSSの作用を代行、抑制しなかったがマウス抗血清が天然イトマキヒトデGSS活性を中和した。P2は一層正しく天然キヒトデGSSのアミノ酸配列を反映していると考えられた。そこでP2に対する抗体を得るために、現在ウサギをP2で感作している。抗体力価を径時的にP2を用いてELISA法で測定すると、徐々に上昇が認められるのでP2抗体が生産されている。一方この抗P2抗血清から抗P2抗体を選択的に分離濃縮するために、P2をアクリルアミドに固定化したアフィニティ担体を準備した。抗P2抗体が天然GSSを中和することが確められた時点で、改めて抗P2抗体を固定化し、天然GSSを選択的に分離するアフィニティ担体を作製する。 一方、P2に基いたDNA断片(プロ-ブDNA)を合成し、キヒトデGSSのcDNAの中にこれとハイブリダイズする領域を検築したが然るべき断片が得られなかったので(平成2年)、改めてゲノムDNAの中で検築中である(PCR法)。PCR条件30サイクル,アニリング温度55℃では増巾DNA断片が得られなかったが、同温度50サイクルによりDNA断片が得られた。この断片のDNA配列分析のために常法に従いこの断片を増巾中である。
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