研究課題
昭和63年9月に、滋賀県甲賀郡甲西町の野洲川河床において発見された鮮新世の哺乳動物の足跡化石を中心に、地質学・古生物学・堆積学から研究を行い基礎的なデ-タを収集した。また、それをもとに日本各地の6地点について調査を行い、新しく哺乳動物の足跡化石群を発見し、それらのデ-タの解析について準備を進めた。1.野洲川の足跡化石について、これまで発見されているもののほかに、発掘によって新しい足跡化石群を確認し、足跡化石と堆積物との関係をあきらかにした。2.野洲川足跡化石群の下位45mの火山灰層のジルコンのFT年代測定を行い、2.62±0.16、2.58±0.26、2.42±0.13(Ma.BP.)の値を得た。この値は、これまで地質学的調査よりの推定値を矛盾しないことを確認した。3.野洲川足跡化石群について、随伴する植物、花粉、珪藻、貝化石の分析から古地理および古環境の復元を行った。4.鮮新世の哺乳動物の足跡化石がこれまでに発見されている岩手県花巻市北上川河床、新潟県三島郡越路町渋海川河床、兵庫県明石海岸について調査し、足跡化石群を確認、野洲川化石群との比較のデ-タを収集した。5.新に、大阪府富田林市、滋賀県日野町、長野県東部町の鮮新・更新統より足跡化石群が発見され、これらと野洲川のものとの比較を行いつつある。6.野洲川足跡化石群のほか、本年度に確認および発見した化石群をふくめて、鮮新世の哺乳動物の足跡化石について、P.C.による画像解析とデ-タベ-ス作製を進めた。また、この過程で、更新世後期の野尻湖の足跡化石、および完新世の京都市岡崎の足跡化石の調査を進めた。
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