研究課題
一般研究(B)
滋賀県野洲川、岩手県花巻、新潟県三島郡越路町、兵庫県明石市の足跡化石について、層序学的、年代学的および古環境、足跡のパタ-ン解析の研究を行った。それらのほか本研究を進めている過程で大阪府富田林市石川や長野県野尻湖など各地で新たに足跡化石が発見・発堀され、それらの堆積学的および火山灰層序からの検討を行った。1.野洲川足跡化石群は鮮新世後期とされていたが、富田林市石川や明石海岸の足跡化石の層準との比較、随伴するや火山灰の鉱物学的な分析結果から、いずれも更新世前期のものであることが分かった。また、花巻市や北上市の足跡化石包含層の植物遺体の組成も更新世前期をしめし、新潟県越路町の足跡化石層準も更新世前期末から中期初頭のものである。すなわち、主な足跡化石層準が更新統下部に集中するという興味ある事実が分った。2.野尻湖の足跡化石は更新世末期のものであり、火山灰の上面につけられた足跡が粗粒砂に覆われている。このような堆積条件は野洲川など更新世前期の場合と共通し、国外の東アフリカのラエトリ(鮮新世)、北米のテキサス西部(鮮新世)、カナダのアルバ-タ(暁新世後期)も同様である。このことから、細かいシルトと粗い砂とが頻繁に互層するような堆積作用で乾燥が激しい環境で足跡化石が形成されたことが分かる。また、そのような環境が卓越した地質時代に多くの足跡化石が残され、逆に、足跡化石から地球的な環境条件を明らかにすることができる。3.足跡化石パタ-ンの解析から印跡動物の種類の認定が、一部可能となった。行動や運動様式との関係を更に明らかにする方法と技術の基礎的な研究が必要である。
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