1.単相消化と二相消化の性能比較 内容積1lの酸生成槽および5lのメタン生成槽を組み合わせてケモスタット型二相嫌気性消化実験装置により、35℃の恒温槽で可溶性デンプンを基質とした消化実験を行った。また、これと並行して単相消化槽を二相消化と同一のHRTで操作し、HRTを変化させて単相と二相消化法の効率的の相違を検討した結果、pHの安定特性においては二相消化の方は単相消化より優れており、COD除去率およびメタン生成率については、HRT5日以下の場合二相消化の方が単相消化より高いが、HRT10日の条件ではほぼ同じ効率が得られている。 2.嫌気性消化における余剰活性汚泥の分解特性 35℃の温度で回分および連続実験を行い、嫌気性消化における余剰活性汚泥の分解挙動について検討した。回分実験において余剰活性汚泥のCODの57%が分解され、その内約80%が30日間で分解される。連続実験においてHRTを0.5日から5日まで変化させ、有機物の分解速度とCOD物質収支を解析した結果、余剰活性汚泥の嫌気性消化において固形物の加水分解反応はプロセス全体の律速段階であること、また加水分解速度は一次反応式で表れることが明らかになった。余剰活性汚泥中の難分解性有機物の含有率は約50〜75%であり、汚泥の採取時期によって異り、夏期のものは特に分解しにくいことも知られた。さらに、余剰活性汚泥の組成は炭水化物が7〜10%で、タンパク質が49〜58%で、脂質が6〜9%で粗繊維が28〜35%であるが、それぞれの分解可能の比率は脂質48%>タンパク質43%>炭水化物37%の順となっている。 3.嫌気性細菌群の分類定量 Hungate嫌気的操作法を導入してMPN法による嫌気性細菌群の分類定量を試みた。今年度はメタン生成菌とホモ酢酸生成菌を中心に検討した結果、MPN法による分類定量法は有効であること、培養時間は4週間を必要とすることが知られた。
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