1.タンパク質の二相消化について 内容積3lの酸生成槽および6lのメタン生成槽を組み合わせたケモスタット型二相嫌気性消化の実験装置により、35℃の温度条件でアルブミンの単一基質およびタンパク質を主成分とする混合基質について二相消化を行った結果、以下のことが明らかになった。(1)酸生成相におけるタンパク質の分解率はHRT2日以上の条件では80%以上であったが、HRT1.5日の条件ではアルブミン単一基質の場合約、70%だったのに対して、タンパク質を主成分とする混合基質の場合には80%と高くなっている。このことから、混合基質を用いた場合はタンパク質の分解が促進されると考えられる。(2)HRT1.5日の条件では、タンパク質の酸発酵が十分に行われたこと、メタン発酵がほとんど進んでいないこと、またタンパク質分解菌とメタン生成菌の菌数の比はおよそ100:1だったことから、タンパク系廃水の二相嫌気性消化も可能と考えられる。 2.嫌気性消化におけるセルロ-スと余剰活性汚泥の分解特性の比較 35℃の温度で回分実験および連続実験を行い、嫌気性消化におけるセルロ-ス、余剰活性汚泥およびその成分の混合汚泥の分解特性について比較検討を行った。セルロ-スと比較して余剰活性汚泥の方が分解されにくく、30日間の嫌気性消化を通してセルロ-スの約90%が分解されたの対して、余剰活性汚泥は50%しか分解されず、特に余剰活性汚泥に含まれる炭水化物はわずか20%しか分解されなかった。また、セルロ-スと余剰活性汚泥を混合して処理する場合はセルロ-ス単一基質の場合よりセルロ-スの分解が促進される。セルロ-スと余剰活性汚泥との混合汚泥の嫌気性消化においても加水分解段階がプロセス全体の律速段階である。
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