研究概要 |
本研究では,嫌気性消化における各種類の基質の分解挙動および嫌気性細菌群の相互作用を解明することに加え、嫌気性流動床を組み入れた二相嫌気性消化プロセスによる効率化を検討した。本研究より得られた主な結果は次のようにまとめられている。 (1)、セルロ-ス単一基質および混合汚泥と比較して余剰活性汚泥は分解しにくい。混合汚泥からのメタン生成量およびメタン含有率は汚泥の組成によって大きく影響される。セルロ-スと余剰活性汚泥の混合汚泥の嫌気性消化において,その混合割合にかかわらず,加水分解反応が全プロセスの律速段階である。また,加水分解段階の反応速度は残存固形有機物濃度に関して一次反応式で表わすことができる。 (2)、前熱処理を加えた結果、余剰活性汚泥の分解率およびメタン生成量は著しく向上された。余剰活性汚泥の嫌気的分解率を向上させるための最適前熱処理の条件は処理温度が170℃で,処理時間が60分である。この条件において,滞留時間5〜10日の消化を通して、COD除去率および消化ガス生成量はそれぞれ60%および230ml・gCOD^<-1>に達しており,その値はコントロ-ル系の約2倍である。 (3)、HRTを0.25日,0.5日,1.0日および2.0日に設定し、実験温度を10℃から30℃まで変化させて可溶性デンプンを基質とした連続実験を行った結果,基質の分解率、酸生成菌とメタン生成菌の菌数分布はHRTおよび温度により大きく影響されることが分かった。 (4)、嫌気性流動床を二相消化のメタン生成相に用いて基質除去および生物膜形成特性に及ぼす基質組成および負荷の影響を検討した結果、有機酸基質に少量のグルコ-スおよび酵母エキスを添加することによって基質除去率および生物膜の形成が促進される、COD負荷3DugーCOD/m^3・dまで上げても基質除去率が98.8%以上であった。
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