放線菌の生産するコレステロ-ル転換酵素系の遺伝生化学的究明とその応用

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01480036
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 室岡 義勝 広島大学, 工学部, 教授 (60029882)
• 研究分担者: 山下 光雄 広島大学, 工学部, 助手 (40220347) ; 小埜 和久 広島大学, 工学部, 助手 (10144883)
• キーワード: 放線菌 / コレステロ-ル酸化酵素 / 遺伝生化学 / コレステロ-ル転換系 / Pー450

研究概要

コレステロ-ルは、動物体重の2%を占める代表的ステロ-ルで、各種ホルモンの前駆体となる重要な脂質である。コレステロ-ルの臨床検査には、もっぱらコレステロ-ル酸化酵素を用いた方法が使用されている。本研究は、放線菌の生産するコレステロ-ル酸化酵素遺伝子の放線菌内へのクロ-ニングと酵素生産の向上研究に始まり、遺伝子の構造解析によるいくつかの興味ある発見と将来への可能性を持った展望のもとに計画されている。
放線菌のコレステロ-ル酸化酵素の遺伝子配列を決定したところ、本酵素遺伝子の上流に、チトクロ-ムP450類似遺伝子の存在を発見した。チトクロ-ムP450は、コレステロ-ルの胆汁酸への異化初期反応に関与するほか、ステロイドの水酸化等の多種多様なオキシダ-ゼ反応を触媒することが知られている。
本年度は、以下の研究を実施した。
1.先にクロ-ニングした遺伝子を用いて、deletion analysisおよびgene fusion等により、コレステロ-ル酸化酵素およびチトクロ-ムP450のプロモ-タ-部分を決定した。
2.S1 mapping analysisおよびノ-ザンプロッテイング等により転写開始部位及び転写単位(operon)を決定した。
3.すでにクロ-ニングしている遺伝子をプロ-ブにして、ウオ-キング法により、隣接する上流および下流の遺伝子約20kbをクロ-ニングした。

研究成果

• [文献書誌] Ishizaki,T.,N.Hirayama,H.Shinkawa,O.Nimi and Y.Murooka: "Nucleotide sequence of the gene for cholesterol oxidase from Streptomyces sp." Journal of Bacteriology. 171. 596-601 (1989)
• [文献書誌] Horii,M.,T.Ishizaki S-Y.Paik,T.Manome and Y.Murooka: "An Operon containing the genes for cholesterol oxidase and a cytochrome P-450-like protein from Streptomyces sp." Journal of Bacteriology. submitted.
• [文献書誌] Murooka,Y.,T.Ishizaki,M.Horii and S-Y.Paik: "A new operon involved in a sterol metabolism in Streptomyces sp." Actinomycetologia. 3. 89-94 (1989)
• [文献書誌] Murooka,Y.(ed.Spiechck): "Genetic desighns for product formation in recombinant microbes/in Biotechnology Advances" Pergamon Press plc,Oxford,England, 30 (1990)
• [文献書誌] Murooka,Y.(ed.P-L.Yu): "Secretory over-production of microbial enzymes using new host-vector systems/in Fermentation Technology;Industrial Applications" Elsevier Scientific Publishers Ltd, 6 (1990)