劣性突然変異形質もつれをイネ品種亀ノ尾に房交雑により導入したもつれ亀ノ尾を元の正常品種亀ノ尾と比較して次の研究を行った。 芽ばえに、水中あるいは空中で動力刺激を与えると正常種は約80度屈曲したが、もつれは空中では25度、水中では20度しか屈曲しなかった。また、芽ばえのエ-ジによる動力反応を比較すると、もつれはエ-ジが進むにしたがって除々に屈曲反応を示さなくなった。 スタトリスとしての澱粉粒(アミノプラスト)の動力に反応しての沈降を見たところ、もつれにおいても沈降することが認められたので、重力反応の異常は澱粒粒の沈降より後の段階にあるものと推定された。 正常種ともつれの両方を用いて、生長解析を行ったところ、光合成器官は正常種では上層に分布したが、もつれでは下層になるほど多く分布した。また出穂後の穂の垂直方向への分布は、正常種では草冠部の一定の層に集中したが、もつれでは全層にわたって分布した。 分げつ期後半から出穂期にかけての重力反応の変化を、等12葉期から経時的に検討した。正常種では、重力刺激を与えた直後より、除々に屈曲し始め、40ー50日後にはどの分げつも水平面に対して80度前後まで屈曲した。これに対して、もつれでは出穂以前は重力に対しての反応を示さなかった。しかし、出穂期頃から重力に対して除々に屈曲を示すようになる。しかしその程度は、正常種に比較して小さく、しかも0ー80度の広い範囲にわたって分布を示した。 これらの研究の結果、地球外環境における作物生産の問題を、重力の常に存在する地球上で研究する上で、重力に対する反応が異常な突然変異系統を利用することの有効性が確立された。時に作物生産の視点からは、重要不殻類の突然変異系統は重要なことが示唆された。
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