研究課題/領域番号 |
01480042
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
窪永 忍 東京大学, 農学部・附属農場, 助教授 (40124664)
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研究分担者 |
山岸 順子 東京大学, 農学部・附属農場, 助手 (60191219)
鈴木 晴雄 東京大学, 農学部・附属農場, 助手 (30012058)
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キーワード | ナタネ種子 / 物質蓄積 / 物質転流経路 / 光合成産物 / エチレン / ニュ-トロン・ラジオグラフィ- |
研究概要 |
ナナタネ種子における物質蓄積の停止機構を明らかにする目的の下に、第2年度の実験を行い、次の結果を得た。 1.種子の含水率は、種子の乾物重増加停止後5〜10日目まで、停止前とほぼ同じレベルを保ち、その後急減した。このように種くへの水分供給が種子の物質蓄積停止後も続くことから、種子の物種蓄積停止は種子への物質転流経路の閉塞によるものでないことが推測された。 2.果柄の切口から吸収されたHラベルのグルコ-スの種子への転流速度は、種子の乾物重増加の停止時期前後でほとんど変わらなかった。このことも種子への物質転流経路の閉塞はないことを示していると言えよう。 3.莢内部の気体の主成分は、酸素、二酸化炭素およびエチレンであった。酸素と二酸化炭素の濃度は種子の乾物重増加の停止時期前後でほとんど変わらなかったが、エチレン濃度は種子の乾物重増加速度の低下にともない急速に低下した。このことはエチレンが種子の物質蓄積停止に関連する可能性を示唆している。 4.莢の維管束連絡の観察にニュ-トロン・ラジオグラフィ-が有効であることを確認し、これを用いた観察結果から、種子への物質転流経路の閉塞は種子の全発育期間を通じてないものと判断された。 以上の結果と昨年度のそれとから、ナタネ種子における物質蓄積停止は、種子への物質転流経路の閉塞によるものでなく、エチレンの関与が推測される貯蔵物質の合成・蓄積の停止によるものと考えられた。
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