カキは雌雄混株であるとされているが、その雌雄性分化に関する要因は殆ど解明されていない。本研究は雌雄性分化に関与する内的要因を明らかにし、その分化を人為的に制御する方法を探索しようとするものである。 1.まず、雌雄両花を着生する品種について、それぞれの分化時期を形態的に調べたところ、雄花は雌花よりいくぶん早く分化発達することが判明した。また、両花の着花特性については、前年度雄花を着生した結果母枝からは雄花が、雌花を着生した母枝からは雌花が着生しやすい傾向が認められ、さらに、母枝先端の芽ほど雌花が、下部の芽ほど雄花が、着生する傾向が認められた。 2.雌花及び雄花をそれぞれ着生した新梢のメタノ-ル抽出物について生理活性物質を分画検定したところ、サイトカイニン活性を示す1分画が雌花着生枝において高く、抑制物質の1分画が雄花着生枝において高いことが明らかになった。これらの活性については今後詳細な分画を進めてゆく必要がある。なお、合成サイトカイニンであるベンジルアデニンを雌雄両花を着生する品種の新梢に散布したところ、本来雄花のみが分化すると考えられる2番枝上で雄花から両性花への移行がみられ、まれに雌花にまで発達するものが観察された。 in vitro条件下で雌雄性分化を制御する方法を探索するため、休眠芽の培養を試みた。まず基本培地の検討を行ったところMS培地の無機塩類を1/2〜1/5の濃度に希釈したもので、花芽の発達がすぐれることが明らかになった。次年度以降、さらに好適な培地条件を明らかにするとともに、種々の生理活性物質の効果を試してゆきたい。
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