研究概要 |
ミトコンドリアDNA(mtDNA)抽出のための材料としてカンキツの成葉を用いたが,同じ手法でもホウレンソウやレタスのような草本性植物よりmtDNAの抽出効率は低くかった.抽出方法の開発に多くの労力と時間を注いだ. 2.材料とする葉中のフェノ-ル化合物や精油成分がなどの二次代謝物がDNAの抽出効率に影響している事が予測されたので,抽出の材料にはカルスを用いることとした.系統歴が明かな16品種のカンキツのカルスを誘導し維持している. 品種によりカリスからのmtDNAの抽出量は新鮮重1g当り0.17μgから0.05μgの範囲であり,シキキツ,ワシントンネ-ブルで高く,マイヤ-レモンや足立ネ-ブルでは低かった. 4.カルス増殖のための培養基の固化剤とする寒天及びゲルライトは,抽出したmtDNAの酵素によるdigestionを妨げることが明らかになった.液体培養またはポリエステルウ-ルを用いてカルスを培養することとした. 5.葉から抽出した精油成分がカンキツ類及びミカン亜科植物の分類のための指標になることを明らかにし,今年度は品種の類縁関係が明かな44品種について解析した.精油成分の組成の類似性が交雑品種の形態や生理的特徴と関係があることを明らかにした. 6.属間雑種として自然発生したと推察されているシキキツに関して精油成分の分析を行い,両親がFortunellaとCitrusの野生種であることを類推した.
|