研究概要 |
平成元年度の研究実績。1.親和性、不親和性およびいもち病菌細胞壁成合プロテオグルコマンナン(RIF)適用系におけるイネ葉身ACC,ACCシンタ-ゼおよびエチレン生成酵素活性の詳細なる動態計測を終えた。フェニルアラニン アンモニアーリア-ゼ、リポキシゲナ-ゼ、ペルオキシダ-ゼの誘導を規定する所間因子tmと上記3指標動態は符号した。本研究による既報(11.研究発表参照)を加え、上記3酵素類の誘導は内因性エチレンに依存性を示した。本研究の途上、ほぼ単一な糖タンパク質としてRIFを単離した。これにより、イネ葉身プロトプラストによる細胞応答を詳しく調べる手段が確立した。2.上記抵抗性発現3酵素類はACC、Glu、エセホンの適用で病菌接種およびRIF適用と同様に誘導されることを確認した。酵素類の誘導はシクロヘキシミドの適用で殆ど完全に阻害された。上記3酵素の誘導が内因性エチレンに依存するとの考えを強く支持し、誘導が翻訳過程さらに転写過程を含むことを示唆した。3.感染により物理的抵抗障壁であるリグニンが誘導的に生成することが確認され、罹病葉と健全葉との各々から分離精製したジオキサン リグニンは赤外分光学的に異なり、グアヤシル含有量が高いことを示唆した。結合性および遊離ヒドロキシケイ皮酸類、それらに相当するアルデヒドおよびアルコ-ルの動態は上記罹病葉でのリグニン組成の変化を支持した。4.ポリアミン類のプトレシン、スペルミンは、感染極初期に著しく多量に、かつ一過性に貯留することを知った。ポリアミン貯留の機構、防御機構の制御に対するかかわりなどの意義付けは今後の価値ある研究課題である。
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