研究概要 |
1.中腸のパラフィン切片やトリプシン処理より得られた遊離状態の円筒細胞または超音波処理により得られた微絨毛を,正常山羊血清に浸して非特異的吸着部位を飽和状態にしてから,SyFと反応させたところ,SyFはアワヨトウの中腸円筒細胞の微絨毛に特異的に吸着するが,カイコやスモンヨトウの微絨毛やその他の組織には吸着しないことが明らかになった。このことから,SyFのレセプタ-はアワヨトウの微絨毛にあると推察される。 2.特異的吸着に関与する蛋白質を調べるために,カイコとアワヨトウの中腸の蛋白質を2次元電気泳動で分離し,感染増進物質との親和性をイムノブロッティングにより検定したところ,カイコ中腸には検出できなかったが,アワヨトウの中腸には特異的に吸着する2種のポリペプチド(分子量1.5,1.9万)が検出された。これらのポリペプチドが感染増進物質のレセプタ-を構成している分成である可能性が高い。 3.感染増進物質中のリン脂質の種類を決定するために,テトラメチル尿素処理とFolch法の組合せで感染増進物質からリン脂質を抽出し,2種類のカラム(Silica60,μBondasphereーNH_2)を用いた高速液体クロマトグラフィ-で分析したところ,それぞれのカラムにおいて1種類のリン脂質が検出され,溶出時間からホスファチジルコリンと同定された。従って,感染増進物質はホスファチジルコリンを含むリポ蛋白質と考えられる。
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