研究概要 |
栄養生長からの生殖生長への転換期である幼虫最終齢中期に突如として致死する新変異体lethal lastーinstar larva(lーli)がこれも連関未知の新しい黄体色突然変異Xanと連関することを認めた。Xanは連関未知群の1代表遺伝子Ymと第24連関群を除く既知26群の全てに対して独立であり、本群が新連関群を構成するものか否かは来年度に決定する。第19連関群に所属する卵特異蛋白質ESPの構造遺伝子PesについてGl及びnbを基準に用い3点実験を行い、現在までに雌蛾777頭の産下卵のESP型の分離からPes遺伝子座は0.0位とされてきたGl座の左方18.9であるとの結果を得ている。また第2連関群のoal座に関し体細胞において正常遺伝子を油蚕性に転化せしめるmuーoal遺伝子の座位を第13連関群40.4と決定した。さらにフラボノイド色素による緑繭性に関して、大造及び笹の両品種では第6,7,20、朝鮮緑繭種では第6,9連関群に属する複数の遺伝子が関与することを確認した。しかし何れもその他に1〜2個の条件因子が介在しているので多標識遺伝子系統を作成し分析中である。生殖巣の発育不全はヒトの重要な遺伝疾患であるがそのモデル動物となる新突然変異、gap及びgonの連関検索を行い、それぞれ第5、第18連関群に所属することを確認して三重劣性系統を育成中である。一方、T(23;25)Nd,T(6;7)E^<Ds>に続いてE^<Np>もn=27と染色体数を減じ巨大な付着染色体をもつT(6;20)E^<Np>であることを見出した。何れも自然突然変異であり、カイコでは予想以上に染色体突然変異の頻度が高いようである。T(6;7)E^<Ds>付着染色体と自由染色体との交叉実験による組換型の後代検定を行ったが、付着染色体を保有するものはすべてE^<DS>でT(6;7)+は得られなかった。 卵浸漬法は催奇性の簡便な一次検定系として有効な場合があることを確認したが、近年催奇性が疑われているNaーフェノバルビタ-ルほか数種薬品については催奇性を検出することはできなかった。
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