研究概要 |
新突然変異,終齢致死lーliと優性黄体色Xanが既知の26連関群の全てと独立であり,関連未知の1染色体を代表するとされてきた黄起Ymと連関関係にあることを確認した。3点実験を行うには至り得なかったが,lーliーXan間の組換価は34.04%であった。この第27関連群の発見により家蚕における連関未知群は1染色体を残すのみとなった。その他,保存系統における変異形質の探索・誘発と遺伝分析により多数の新変異遺伝子の座位・所属関連群を決定し得たが,特記すべきは卵巣でのESP蛋白質の合成には異常なく体液からの蛋白質取込能が殆どない白妙卵(vit,20ー?),成虫が極端な短命に終わる寿命(eph,25ー?),吐糸・営繭行動の変異として繭が小形で表面が粗になる漣繭(cru,25ー?)及び平面吐糸に際して絹蛋白質の合成・分泌量が低下しない繭紙吐糸(San,20ー?)等である。また蛋白質の多型に関して卵特異蛋白質Pesの座を19ー0.0,稚蚕期に特異的に発現される体液蛋白質Pylの座を20ー11.2と決定した。 染色体異常であるT(23;25)Ndについて大規模な交叉実験と組換型の後代検定を行い,第25染色体の右端と第23染色体の左端とが付着したものであることを確認した。同様にしてT(6;7)E^<Ds>は第6染色体と第7染色体とがいずれも左端側で付着し,T(6;20)E^<Np>は第6染色体の左端と第20染色体の右端とで付着していることを確認した。これらのRobertson型付着染色体は全て自然突然変異であり後代への伝達は安定している。近縁種のBombyx mandarinaで日本型が中国大陸型よりも染色体が1本減少しているのはこれに類似した染色体付着によるものであろうと推定される。 さらに第6染色体の左端付近に占座し体節分化を決定しているE偽対立遺伝子座の微細構造を調べた。後代検定による確認を要するものも残っているが,現在迄の所本遺伝子座は(Mu)ー(El)ー(Ns)ー(E)ー(H)ー(N)ーbー2の順に配列していると推定される。
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