研究概要 |
島根県松江市千鳥町の松江温泉源より単離された好温性ラン藻Phormidium lapideum、とりわけその酵素類について、平成元年度よりの3年間にわたる研究によって、下記のように多くの成果が得られた。 1。アスパラギン酸トランスフェラ-ゼ(AAT)に関しては、本酵素がきわめて高い耐熱性を有することと、等電点がかなり低いことを除けば、分子量、Km値、基質特異性など多くの点で哺乳動物サイトゾル由来のAATによく似た特性を有していることが解った。またNー末端部アミノ酸配列の比較検討を行った結果、本酵素がBacillus属由来の耐熱性AATときわめて高い相同性を示した。 2。アラニン脱水素酵素(ADH)を均一になるまで精製し、アミノ基末端側アミノ酸配列の分析を行った。またP.lapideum染色体DNAを単離抽出し、常法により本酵素のクロ-ニングにも成功した。P.lapideum由来のAAT酵素と、クロ-ニングされたAATとは、ほぼ等しい酵素化学的性質を示した。 3。P.lapideumの制限酵素Pla I,Pla IIを分離精製し、その諸性質を明らかにした。即ち、Pla Iは既知のHae IIIの、Pla IIはNsp(7524)Vの、それぞれアイソシゾマ-であった。しかしながら蛋白化学的にPla I,Pla IIは、それぞれのアイソシゾマ-よりは高い耐熱性を有していた。 4。P.lapideumの形質転換を目的として、まずP.foveolarumよりその小プラスミドpPF1を単離し、その完全塩基配列の決定を行った。pPF1は1509bpであり、デ-タ検索の結果は、本プラスミドがReplication Associated Proteinの情報を有している可能性を示した。 5。pPF1ーpBR322のハイブリドベクタ-を構築し、エレクトロポレイション法により、本ベクタ-による糸状性ラン藻P.lapideumの形質転換に成功した。 6。上述のように有用な性質を有する好温性、糸状性ラン藻P.lapideumの迅速培養方法の開発を進め、酢酸バリウムの添加が有効なことを示した。この際、バリウムイオンがDNAポリメラ-ゼ、RNAポリメラ-ゼをそれぞれ活性化している事実を証明した。
|