研究課題/領域番号 |
01480067
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
安藤 貴 岩手大学, 農学部, 教授 (90202788)
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研究分担者 |
関野 登 岩手大学, 農学部, 助手 (30171341)
沢辺 攻 岩手大学, 農学部, 助教授 (90003780)
柴田 信明 岩手大学, 農学部, 助教授 (70003762)
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キーワード | スギ / 複層林 / 成長過程 / 年輪構成 / 比重 / 基礎材質 |
研究概要 |
材木の材質に及ぼす複層林施業の影響を解明するため、愛媛県上浮穴郡久万町のほぼ立地条件の等しく施業経過の明らかなスギの複層林と単層林に調査区を設定し、いずれもヤナセスギの25年生の複層林下木と28年生の単層林立木から胸高直径階ごとにそれぞれ8本ずつの資料木を選び、成長過程と基礎材質を解析するため伐倒調査を行なった。結果は次の通りである。 1.成長過程:複層林下木の成長は樹高よりも直径で庇陰の影響を強く受け、年輪幅は樹心部の地上高の低い部位で単層林より狭く有意な差が認められ、容積密度数も同様であった。現在の下木上部の相対照度は65%と推定され、単位葉量あたりの幹生産能率は複層林下木は0.55t/t/yrで単層林の1.31t/t/yrの80%であった。 2.基礎材質:仮道管長の半径方向の変動には複層林施業の影響は認められず、複層林下木、単層林立木ともに成熟樹齢は10年付近と考えられた。それまでに形成された材を未成熟材、それ以降を成熟材と考えると、下木と単層林立木の年輪幅は未成熟材部で前者が狭く、成熟材部ではほぼ等しかった。両者の間で未成熟材部の晩材幅には差は認められなかったため、下木のこの部位の晩材率は高くなった。年輪比重は成熟・未成熟材ともに下木が高い。その原因としては下木、単層林立木とも晩材比重は未成熟材部、成熟材部とも大差ないため、成熟材部では下木の早材比重が高いこと、未成熟材部では主として下木の晩材率が高いためと考えられる。
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