研究概要 |
平成3年度は本研究課題の最終年で3年目となる。本年度は当初の計画通りに対象地域は本州の紀伊半島及び四国地方として,また対象樹種はナラ類のうちミズナラ,コナラ,オオバコナラの3樹種とする現地調査を実施した。平成3年秋季に奈良県大台ケ原及びその周辺部,愛媛県石鎚山及び周辺山地,徳島県剣山及びその周辺部の3地域について全員によって現地調査及び研究試料の収集を行った。なお,本年度は台風19号の影響によったのか,ナラ類の着果状況は予想を上廻る凶作年であった。 奈良県大台ケ原及びその周辺部のナラ類天然林ではミズナラ20個体が調査された。また愛媛県石鎚山及び周辺山地ではミズナラ4個体,コナラ10個体が調査できた。さらに徳島県剣山及び周辺一帯ではミズナラ6個体,コナラ11個体,オオバコナラ2個体が調査された。そこで,ナラ類全体としては,ミズナラ,コナラ,オオバコナラの3樹種について合計6母樹集団から47母樹個体が調査されたことになる。各母樹はそれぞれ成葉10枚8形質,堅果20個5形質,殻斗20個5形質について計測を行ったので,測定値は総数約1万4000となった。 成果の取纏めは主成分分析法によって各集団の遺伝的特性及び遺伝的関連性を明らかにしようとするもので,目下分析中である。 採取した堅果は母樹系統別に分けて九州大学早良演習林の苗畑に播種を終了しているが,系統の数は47母樹系統である。これらは成苗を得た後,次年度に産地試験地に定植していく予定である。
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