研究課題/領域番号 |
01480076
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 稔 京都大学, 農学部, 助教授 (60026599)
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研究分担者 |
則元 京 京都大学木材研究所, 教授 (20027163)
佐伯 浩 京都大学, 農学部, 教授 (40026498)
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キーワード | X線回折法 / 電子線回折法 / レ-ザ-光回折法 / 木材形態の異方的周期性 / ミクロフィブリル配列 / 木材細胞の形態モデル / 自己相関関数 / フ-リエ変換 |
研究概要 |
今年度はレ-ザ-光回折法による細胞レベルの周期的形態解析に研究の主眼を置いた。レ-ザ-光回折法の原理は2次元のフ-リエ変換法と同一であることが証明されている。そこで画像処理装置に付属のFFT法も同時に活用した。木材の横断面切片標本を直接レ-ザ-光回折装置に入力し、またその光顕拡大像を画像処理装置でFFT処理した。そして得られたパワ-スペクトルパタ-ンに再度のFFTを行い、自己相関パタ-ンを導く方法を考案し、形態要素の解読を非常に容易かつ定量的に実行することに成功した。一方木材の横断面の光顕的形態をミクロからマクロへ(1)細胞壁(2重細胞壁)の断片、(2)細胞壁の連結による細胞形状の網目模様、(3)細胞の2次元的配列、(4)組織の配列、の4種の形態要素に区別して解析することにした。(1)については、細胞壁一細胞内腔境界を金コ-ティングやエッジ強調処理でコントラストを付与したboundary mapのパワ-スペクトルパタ-ンと自己相関パタ-ンにより、細胞壁の厚さを計測できるようになった。また細胞形状を抽出したnet mapから細胞壁の方位が求められた。さらに細胞の位置だけを抽出したdot mapにより(3)を検出できた。針葉樹早材部におけるこれらの解析結果から、そこに含まれる全ての仮道管の中で、もっとも頻度の高い仮道管の横断面形態の復元に成功した。これに「仮道管断面単位胞」と呼ぶことにした。そこには非常に多くの形態情報が数量的に表現できることになった。これは木材の細胞レベルでの異方性を明解に示すものであり、今後樹種識別や物性解析に非常に重要な意義を持つであろう。(4)については、針葉樹早材の解析結果を早晩材移行過程の解析に発展させるとともに、広葉樹の道管と木繊維の分布形式について、極座標による異方性解析を実施し、樹種的な特徴抽出に成功した。
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