1.熱帯産のオニテナガエビを12L12D、15L9Dの異なる光周期と24、28、32℃の異なる水温を組合せた6実験区で飼育し、成熟・産卵に適した環境条件を求めた。その結果、高温になるほど生殖脱皮の頻度が上昇し、脱皮間隔も短くなることが判明した。本種は温帯産のテナガエビに見られるような明瞭な光周性を示さなかった。 生殖脱皮および普通脱皮の各脱皮ステ-ジにおける血リンパ中のエクダイソン濃度を測定したところ、いずれの脱皮においても、エクダイソン濃度はD1期から上昇し、D3期にピ-クに達することが判った。脱皮はこの直後に起こり、生殖脱皮の場合はそのご雌は雄と交尾し、産卵した。血中ビテロジェニン濃度を同様な個体から採血し測定した。その結果、生殖脱皮過程においてビテロジェニン濃度はC期から上昇を始め、D2期にピ-クに達した後、減少することが、また普通脱皮過程においては、ビテロジェニンの産生は起こらないことが明らかになった。 2.オニテナガエビの最終卵成熟は成熟脱皮直前のエクダイソン濃度のピ-ク時にほぼ同期して起こることから、エクジソンあるいはその代謝産物が卵成熟誘起物質である可能性が示唆された。 3.クルマエビの最終卵成熟過程における血リンパの採集を行った。 4.オニテナガエビの成熟中の卵巣および卵発生中の卵からエクジステロイドを抽出し定量したところ、卵黄蓄積に同期して卵巣中にエクジステロイドが蓄積され、これが受精後10日目まで徐々に消費されること、しかし、その後生合成が開始されて急増し、18日目に孵化することが判明した。 5.キチナ-ゼのラジオイムノアッセイ系を作製し、脱皮周期とキチナ-ゼ活性との関連性を調べた。
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