研究概要 |
家蓄の飼養学,管理学の基礎となるエネルギ-代謝の研究のうち,従来最も欠落していた放牧時の代謝について,測定方法を確立するとともに,エネルギ-摂取の季節変動とそのエネルギ-蓄積までの効率をも明きらかにし,関与する要因との相互関係を数式表現することによって,生態システムのエナジ-フロ-モデルの一部に組み込むことをねらいとしている。 育成子牛について,草地を歩き採食しているしているままの状態で心拍や筋電を測定し長期間記録する方法は,エネルギ-代謝への換算に関する限りほぼ実用の役階に達し,最長3週間の連続記録が可能となった。 放牧子牛によるエネルギ-摂取量は,牧草の供給量,放牧強度の大いにより大きく変動することが確認され,増体の季節変動も多くはこれらによって説明された。その供給量は牧草生長速度と放牧時期の関数であり,かつ放牧強度(頭数X滞牧日数)の影響を受けている。これら要因間の相互関係を数式化することで季節変動も表現することが可能となった。 放牧子牛の摂取エネルギ-が代謝エネルギ-に変換される効率(ME/GE)は,季節的に大きく異なり,春季と秋季の効率が高く夏季が低かったが,ト-ルスェスク草地での放牧で効率の季節間差が大きく,ライグラス数では差が小さかった。代謝エネルギ-が増体のかたちで蓄積エネルギ-となる効率(ΔRE/ΔME,kf)は,季節間差はME/GEよりも大きく,かつ草種間差も大きかった。春季,秋季が夏季よりも高く,またライグラス類はト-ルフェスクよりも高い値となった。この効率値は,平均してARCの推定している値より上まわった。ME/GE,ΔRE/ΔMEとも,牧草の消化率の変動と有意な相関を示し,代謝エネルギ-が増体に利用される効率も消化率に影響されていることが示された。
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