研究概要 |
本研究は家畜・家禽の品種集団の構造解析を目的として、ミトコンドリと核DNAをマ-カ-とした品種間の識別ならびに品種集団の遺伝的構成を調べた。ニワトリにおけるDNAフィンガ-プラントのバンデングパタ-ンは、同一品種内および同一親子内においては個体特有のものであったが、共通のバンドも数本検出された。また各品種間の遺伝的類似性を示すD値は、品種間における値よりも品種内における値が高かった。さらに親子内におけるD値は品種内におけるD値よりも高い値を示した。 これらの結果、パンディングパタ-ンと形質との関係を明らかにすることが出来れば育種改良に有力な手段となりうるものと考えられる。イヌの系統とその成立過程についてミトコンドリアDNAの制限酵素切断型多型を用いて7犬種25頭の系統関係を調べた。制限酵素HinfIの切断型にはAとBの2種類の型がみられHaeIIIの切断型にはA,B,C,Dという4種類の型が認められた。犬種内変異はHinfIでは琉球犬ならびに紫犬に、HaeIIIでは琉球犬、シベリアンハスキ-ならびにシェットランドシ-プドッグに認められた。またHaeIIIにおける切断型は琉球犬ならびに紫犬はA型、西洋犬はB型に多く分類された。これらの結果、日本犬と西洋犬の間にはいくらかの遺伝的距離が存在することが示唆され、従来行ってきた蛋白質多型の分析と一致した。ウズラにおいては本研究室で系統維持されている14個体についてミトコンドリアDNAの制限酵素切断型を調べた。制限酵素HaeIIIで切断した試料の場合は1.5kbから0.9kbの間に2本、0.9Kb以下に相当する位置に3本のバンドが認められた。HinfIで切断した試料の場合では0.9kb以下に相当する位置に7本のバンドが確認された。しかしバンドの数や易動度についてはいづれの場合も個体変異は認められなかった。今後ウズラの品種集団の構造解析には,調査する個体数や系統の数を増やすとともに,ブロ-プの選択については検討する必要がある。
|