研究課題/領域番号 |
01480095
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
入谷 明 京都大学, 農学部, 教授 (80026385)
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研究分担者 |
細井 美彦 京都大学, 農学部, 助手 (70192739)
内海 恭三 京都大学, 農学部, 助教授 (90033266)
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キーワード | 核移植 / クロ-ニング / 卵胞液 / 卵母細胞 / ウシ / 分化全能性 / エリスロポエチン遺伝子 / 胚性幹細胞 |
研究概要 |
核移植に於て胚細胞割球のみが移植のための供与核になる点が哺乳動物の特性である。(1)家畜胚のクロ-ニングの材料の内、供与核として分割期(8ー細胞期)の胚、および受容細胞質として、成熟卵母細胞が必要とされる。未成熟卵母細胞の体外成熟系において、成熟卵細胞の卵胞液が卵丘卵母細胞の卵子成熟に重要な機能を果たしていることが示され、卵細胞質の完全成熟がその後の胚発生に関係することが明らかにされた。(2)胚割球は発生の過程を経て分化の道を経て形態形成の道を歩むが、供与核の分化全能性が核移植胚の発生の基礎になる。前核期卵子の前核に外来遺伝子を導入して、胚の分割期割球での導入遺伝子の分布と遺伝子発現を調べて、胚割球の分化様式を明かにしようとした。ヒトエリスロポエチン(EPO)とlacーZの遺伝子を結合したDNAをマウス前核期卵子の雄性前核を導入した。導入遺伝子(LacZ)が染色で組織学的に胚割球に検出出来ること、および割球から抽出したDNAを増幅して、EPO遺伝子の検出が可能なことが示された。(3)胚由来の細胞を分化全能性を保持させたまま末分化の状態で維持されているのが胚性幹細胞である。この胚性幹細胞を供与核としてクロ-ン胚を作出することが考えられている。マウスとウシの胚盤胞期胚の内部細胞塊の分化を停止させて、継代させる基礎培養条件が検討された。ウシ胚の内部細胞では継代されず、マウス胚のそれでは適切なフィ-ダ層上で数代の継代の維持されたが、細胞系列化までには至らなかった。(4)分化全能性を維持した胚割球が受容卵細胞質中で増殖・分化するには、受容細胞質の機能が重要な要因となる。卵母細胞に対する活性化刺激が細胞質因子の成立に必要とされるが、供与核と卵細胞質の融合のための電気刺激が、同時に卵細胞質の活性化刺激を誘発していることが示された。
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