家畜における内因性食欲調節物質の探求

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01480096
• 研究機関: 宮崎大学
• 研究代表者: 園田 立信 宮崎大学, 農学部, 教授 (00040866)
• 研究分担者: 牧村 進 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80003127) ; 山内 清 宮崎大学, 農学部, 教授 (90040865) ; 水光 正仁 宮崎大学, 農学部, 助手 (00128357) ; 佐藤 衆介 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80136796)
• キーワード: Appetite / Food intake / 2-buten-4-olide / Feeding behavior / chickens / ruminants / Hypothalamus

研究概要

家畜における3ーhydroxy-4-butanolide(BO)の血液中の存在:ガスクロ法を修正して検討した結果、牛(25μM)、羊(120μM)、山羊(50μM),豚(5μM),鶏(10μM)の全てに存在し、反芻類の血中濃度は他よりも数倍高いことが明かとなった。
反芻類家畜におけるBOの動態:(1)羊での日内変動を見ると、朝の給餌前は低いが、摂食後に上昇し、その後徐々に低下し、早朝に最低となった。。(2)絶食後の変化をみると、24時間で著しく低下し、72時間(羊)あるいは120時間(山羊)まで低いままであった。ラットでは絶食36時間以降には上昇するが、それとは異なる変動であった。
反芻類家畜におけるBO投与の影響:羊に投与した結果、短時間の摂食行動および摂食量は著しく減少し、長時間にわたって少なかった。なお、反芻時間の減少していた。以上より、反芻類家畜においてもBOが食欲抑制物質の1つと考えられる。
鶏におけるBO投与の影響:(1)筋注でも経口投与でも摂食抑制が認められた。視床下部への微量注入でも摂食が抑制された。(2)BOの筋注は体温低下も引き起こした。この鶏を高温下におくと、対照鶏が44℃で多呼吸を示したのに対し、BO投与鶏では40℃で多呼吸を示した。体温低下は視床下部微量注入でも認められた。即ち、BOによって体温調節の設定温度が上昇したことが明らかである。
鶏における2,4,5ーtrihydroxypenntanoic acid-γーlactone(MBO)投与の影響:(1)視床下部に微量投与したところ、摂食量および摂食時間とも倍になった。(2)筋肉注射した場合は明らかな変化が認められず、ラットとは異なった結果が得られた。

研究成果

• [文献書誌] Sonoda,T.,Mizuno,T.& Satoh,S.: "Effects of an innate feeding suppressant:2-buten-4-olide on feed intake of sheep." Physiology and Behavior.
• [文献書誌] Sonoda,T.,Mizuno,T.,Satoh,S.& Yamauchi,K.: "Diurnal and fasting variation of 2-buten-4-olide in the blood of some ruminants." Physiology and Behavior.
• [文献書誌] Sonoda,T.,Suzaki,T.& Satoh,S.: "Effects of an innate feeding suppressant:2-buten-4-olide on feed intake and body temperature regulation of chickens" Physiology and Behavior.
• [文献書誌] Sonoda,T.,Satoh,S.: "Effects of an innate feeding accelerator:2,4,5-trihydroxy-pentanoic acid-γ-lactone on feed intake of chickens" Physiology and Behavior.