研究課題/領域番号 |
01480105
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松本 治康 山口大学, 農学部, 教授 (40081541)
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研究分担者 |
宇塚 雄次 山口大学, 農学部, 助手 (30151913)
徳力 幹彦 山口大学, 農学部, 教授 (60012001)
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キーワード | 脳波 / パワ-スペクトル / トポグラフィ- / てんかん / 水頭症 / パワ-の増加 / 徐波化 / 脱同期 |
研究概要 |
脳波は臨床上神経疾患の補助診断に応用されているが、脳波を視覚的に容易に評価する方法としてコンピュ-タ解析:スペクトル分析およびトポグラフィ-が行われている。そこで、自然発生の神経系疾患をもつイヌ・ネコの脳波検査を行い、スペクトル分析およびトポグラフィ-を指標としてその有用性について検討した。てんかん9例中6例が正常とは異なるパタ-ンのパワ-スペクトルを示した。水頭症のの4例はいずれも3〜5Hz以下にパワ-が多く、徐波化を容易に定量化することができた。また、脱同期化は双極誘導のパワ-の増加として認められた。総パワ-値を指標として異常の判定を行ったところ28例中24例が正常とは異なり高パワ-を示した。自然発生の神経系疾患をもつイヌ・ネコでは、最終的に総パワ-値および各波帯域の全体に占めるパワ-の割合を診断の指標として用いたところ、28例中25例が異常と判定された。自然発生の神経系疾患をもつイヌ・ネコにおけるトポグラフィ-では、広汎性の高密度分布がてんかん3例、水頭症1例、痙攣発作2例、視覚異常1例および起立不能1例でみられた。また、徐波帯域の局在または非対称の分布がてんかん2例、乳腺腫瘍の転移1例、痙攣発作2例および軽度の斜頚を示す患畜1例で認められた。以上、17例中15例でトポグラフィ-分布において異常が見られた。以上により、パワ-スペクトルで脳波を定量化して判定することは可能と思われ、またトポグラフィ-解析では、視察で見落とすと思われるパワ-の局在が、視覚化することにより判読が容易となることが示唆された。したがって、イヌ・ネコにおいてもコンピュ-タ解析は脳波の判読を溶易にすることから、脳波の評価を行ううえでの有効な方法であると思われた。今後、臨床診断において形態学的な検査と併せることにより、有用性が高まるものと思われる。
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