研究課題/領域番号 |
01480106
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
森 純一 大阪府立大学, 農学部, 教授 (90167685)
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研究分担者 |
玉田 尋通 大阪府立大学, 農学部, 助手 (10155252)
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 農学部, 助手 (00137241)
森岡 宏至 大阪府立大学, 農学部, 講師 (20081599)
沢田 勉 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (60081600)
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キーワード | 牛 / 卵巣嚢腫 / 視床下部正中隆起 / 下垂体前葉 / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / 性腺刺激ホルモン / コルチゾ-ル / 性ステロイドホルモン |
研究概要 |
牛視床下部および下垂体からのホルモン分泌に及ぼすストレスに関連するホルモンの直接的影響について検討を行うとともに、同ホルモンを用いて牛卵巣嚢腫の誘起を試み、嚢腫発生過程における血中各種性ホルモン濃度の変化について検討した。さらに、嚢腫牛の内分泌状態と人絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)による治療効果との関係についても検討した。In vitroで視床下部正中隆起を表面潅流したとき、正中隆起からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)放出量はコルチゾ-ル(10μM)を添加しても抑制されなかったが、一方、0.1μMのプロジェステロンの添加によって有意に減少した(P<0.05)。下垂体前葉の表面潅流では、下垂体からのLH放出量はコルチゾ-ル、プロジェステロンのいずれの添加によっても抑制されなかった。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を4頭の牛に投与した結果、全頭において卵巣嚢腫の発生を認めた。血中の各種性ホルモン濃度を測定した結果、嚢腫発生過程においては、正常牛において通常みられる排卵前のLHおよびFSHのサ-ジは認められず、コルチゾ-ルおよびプロジェステロンの上昇、ならびに、エストラジオ-ルー17βの減少が観察された。卵巣嚢腫牛15頭にhCGを1回投与したところ、血漿中プロジェステロン濃度1ng/ml以上の黄体化嚢腫牛では全頭が治癒し、一方、同ホルモン濃度1ng/ml未満の非黄体化嚢腫牛では12頭中8頭が治癒した。非黄体化嚢腫牛のうち治療効果があったものでは嚢腫卵胞液中エストラジオ-ルー17β濃度が高いものと低いものが混在していたが、治療効果のなかったものでは全頭とも低値を示した。 以上の成績から、プロジェステロンは視床下部に直接働いてGnRHの放出を抑制することが明らかになった。またACTH投与によって卵巣嚢腫の誘起が可能であり、嚢腫の発生過程には正常牛でみられる排卵前のLHおよびFSHのサ-ジが消失することが明らかになった。この原因としては副腎由来のプロジェステロンの増加ならびにコルチゾ-ルの増加によるエストラジオ-ルー17βの減少が考えられた。さらに、嚢腫牛の血中プロジェステロンおよび嚢腫卵胞液中エストラジオ-ルー17βを測定することにより、治療効果の予測がある程度可能であることが明らかになった。
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