研究概要 |
当該年度の計画(1)複合糖質の糖残基検出法に物理現像法を導入した光顕ならびに電顕組織化学的方法を開発すること,(2)(1)で開発した方法について従来の方法との比較,モデル物質の検出,化学修飾と酵素消化の両法の併用などを行い,各方法の信頼性を検査すること(3)(1)(2)によって開発確立した検出法を諸動物の各器官に適用して複合糖質の正確な局在と組織化学的性質を決定すること,の三点に従って研究を進め,以下の研究実績を挙げた。すなわち計画(1)ではレクチン〔ConcanavalinA(ConA),Ricinus communis agglutinin(RCA)ーI,Wheat germ agglutinin(WGA)など〕ーコロイド金ー物理現像(LTーGーPD),レクチン(ConA,RCAーI,WGAなど)ーイムノゴ-ルドー物理現像(LTーIGーPD),レクチン(ConA,RCAーI,WGAなど)ー抗レクチンープロテインAゴ-ルドー物理現像(LTーAntiーLTーPAGーPD)などの光顕および電顕的方法を開発することに成功した。また計画(2)では(1)で開発した三種の方法について,従来の方法(LTーG,LTーIG,LTーAntiーLTーPAGなど)との比較,モデル複合糖質(シアロ糖タンパク質,α_1ー酸性タンパク質など)の検出,化学修飾(酸化,アセチル化,脱アセチル化など)と酵素消化(sialidase,glycosidases,Nーoligoーsaccharide glycopeptidaseなど)との併用などを試みた結果,三種の方法のいづれもその感度,特異性,再現性などに関して十分信頼出来る優れた方法であることが判明した。さらに計画(3)に従って上述の三種の方法を諸実験動物の神経系器官(脳室周囲器官群,脊髄など),循環器系器官(脾臓,小動靜脈など)生殖および内分泌器系器官(精巣,精襄,前立腺,卵巣,子宮,膵島,副賢など),消化および呼吸器系器官(舌,唾液腺,胃,小腸,大腸,気管,肺など)に適用した結果,糖残基含有複合糖質に関して,従来末知のあるいは従来より一層正確な局在と組織化学的性質を決定することが出来た。以上の研究実績は研究課題全体の総括ならびにその総合的解析を行うのに極めて有用であり且つ枢要な内容を含む成果であると考えられる。
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