smgP25Aの調節蛋白であるGDI(GDP解離抑制因子)は分子量約5万の単一ペプチドであり、smgからのGDP解離抑制をかいしてsmgの機能発現を抑制している可能性がある。各種分泌細胞における細胞内GDIの効果を、膜容量の変化(開口放出)を指標として調べた。ラット副腎クロマフィン細胞にGDIを打ち込み、電位依存性Ca電流により誘発される膜容量増加反応の時間経過を比較した。実験結果は、200nMのGDIを含む溶液で細胞内を潅流した場合、誘発膜容量の時間依存性減少が顕著であった。これは当初の予想(smgの開口放出への関与とその機能のGDIによる抑制)と矛盾しない。しかし、実験途上しばしばGDI標本間のバラツキが観察され、未だ確定するに至っていない。GDI精製過程の改良(脂質成分の除去等)が待たれる。 一方、smgP21Bの調節蛋白であるGDS(GDP解離促進因子)はAキナ-ゼの協調の下、GDP解離促進をかいして同smgを活性化すると期待される。膵腺腺房細胞を用い、現在同様の細胞内打ち込み実験を試みている。膵腺腺房細胞にはVIP受容体があり、cAMP(Aーキナ-ゼ)をかいして開口放出を誘発するとされている。事実、VIP(10nM)の投与はCa非依存性に膜容量の増加を促す。しかし、cAMPとGTPγSの細胞内同時投与はしばしば無効のことがあり、他の細胞内因子の関与が考えられる。GDSの打ち込みおよび他因子の存在も含め、現在実験途上にある。
|