研究概要 |
1.炎症時におけるポリモ-ダル受容器の受容機構の変容を明らかにする為,イヌ睾丸ー上精巣神経標本を用いてin vitroで単一または複数神経放電を指標にして熱反応に対する炎症メディエ-タ-の増強効果を定量的に調べた.熱反応の増強には,prostaglandinE_2はbradykinin(BK)反応を増強する100倍以上の濃度を必要とし,5ーHTは同程度の濃度域で両反応を増強する事が明らかになった.histamine(His)は両反応に対する効果が異なり,BK反応はHis反応が大きい時には弱められ,小さい時には増強されたのに対し,熱反応はHisに対する反応いかんにかかわらず増強された.BKはそれ自身単独では放電を生じない0.1nMから熱反応を増強し,その効果は濃度依存的に増大した.いずれのメディエ-タ-もかなりの高濃度を用いても熱による感作効果と比べ弱い増強効果しか生じないことが明らかになった.ポリモ-ダル受容器のBK反応に関与する受容体はB2タイプであることを明らかにした.2.単一放電活動記録により同定した末梢受容野組織の電顕的形態を概ね明らかにした.子イヌのL1脊髄神経節で,細胞内記録により睾丸ポリモ-ダル受容器と同定した細胞にPHALを電気泳動的に注入し,脊髄内線維の終枝を染め出し,1本の軸索が頭尾方向に3分節にもわたって分枝をだし,主として第1層に終末をつくることを明らかにした.螢光色素による脊髄神経節細胞の二重標識により,睾丸求心神経のうちCGRP陽性のものは94%という高率であり,皮膚等に比べ内臓求心神経にCGRP含有細胞が多いことを明らかにした.3.神経性炎症のモデルとして,ウサギ前眼房定流潅流標本を用いて眼圧を指標にその解析をおこなった.炎症メディエ-タ-のBKによる眼圧上昇に,神経活動が関与していることを明らかにしたが,その物質はsubstance Pではない可能性が示唆された.
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