研究課題/領域番号 |
01480128
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
酒田 英夫 日本大学, 医学部, 教授 (10073066)
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研究分担者 |
楠 真琴 日本大学, 医学部, 助手 (40205084)
泰羅 雅登 日本大学, 医学部, 講師 (50179397)
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キーワード | 頭頂連合野 / 単一ニュ-ロン活動 / 視覚刺激 / 奥行運動知覚 / 両眼視差変化 / 大きさ変化 / コンピュ-タ-グラフィックス / サル |
研究概要 |
物体の奥行運動を検出する視覚的手がかりとしては、網膜像の大きさ変化と両眼視差の変化の二つが重要である。これらの情報は頭頂連合野で統合されることにより意識にのぼる知覚を起こすと考えられる。本研究では慢性サルの頭頂連合野で奥行運動刺激に反応するニュ-ロンの活動を記憶し、偏光フィルタ-を利用した光刺激装置を用いて両眼視差の変化を大きさとの変化の刺激を独立して与えることによって、これらのニュ-ロンが奥行運動の手がかり刺激に対してどのように反応するか調べた。奥行運動に反応するニュ-ロンは頭頂連合野の後部(7a野)の上側頭溝後部前壁に分布していた。これらのニュ-ロンの中には主に大きさの変化に反応するものもあったが、両眼視差の変化に反応するものが多かった。両眼視差の変化に反応するニュ-ロンは、右眼と左眼に与えられる像の逆向きの運動の組合せに反応した。また、両眼を同時に刺激すると、単眼刺激のときの反応の単純な加重ではない著明な興奮と抑制の反応がみられた。このことは、反対方向の両眼視差の変化に反応するニュ-ロン相互の間に相反的な抑制の機構が存在することを示唆している。さらに、両眼視差の変化と大きさ変化を同時に与えた時に最もよく反応しどちらか一方では反応の弱いものがあり、これが真の奥行運動の検出に関与していると考えられる。視覚刺激の各要素に対する反応を定量的に調べるため、コンピュ-タ-グラフィクスを用いた刺激装置の開発を開始した。白い背景の中に水色と紫の2つの矩形を出し、これを一方の目は赤、他方の目は緑のフィルタ-を通して見ると、それぞれ片方の矩形だけが黒く見える。2つの矩形の大きさを変化されながら水平距離を変えると黒い矩形が奥行運動をしているように見える。この方法により視覚的奥行運動刺激が可能となった。
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