研究課題/領域番号 |
01480135
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
我孫子 保 旭川医科大学, 副学長 (90041821)
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研究分担者 |
矢沢 和人 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90212274)
橋爪 裕子 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00154021)
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キーワード | ラット / 心筋 / ランゲンドルフ / 低酸素 / ジルチアゼム / 虚血 / マグネシウム / ATP |
研究概要 |
ラットの心臓を取り出し、酸素化(95%0_2+5%0_2)したクレブスヘンゼライト液でランゲンドルフ法により潅流した。心臓は300回/分でペ-シングした。左心室表面にある心筋内のミオグロビン酸素飽和度(Mb0_2)を連続的に測定記録した。ジルチアゼム(0.72、2.41、4.82uM)は左心室内圧(LVP)と潅流圧(PP)を濃度依存的に低下させた。しかし、Mb02には変化を与えなかった。低酸素化(30%0_2+5%CO_2+65%N_2)した液で潅流すると、MbO_2、LVP、PPは低下した。低酸素化の5分後にジルチアゼムを与えた。2.41又は4.82uMのジルチアゼムはMbO_2を上昇させ、LVPを低下させ、PPには変化を与えなかった。これらの結果は、高濃度のジルチアゼムは心筋の収縮力を低下させることによって心筋の酸素需要を低下させ、その結果、低酸素状態にある心筋細胞内の酸素濃度を上昇させ、心筋細胞に対して良い効果をもたらすものと考えられた。 次に虚血実験をした。すなわち、定流量(10ml/min)下にラット心臓を酸素化したクレブスヘンゼライト液で潅流した。心臓は300回/分でペ-シングした。潅流ポンプを止めることによって心筋を25分間虚血にし、潅流ポンプを作動させることによって15分間再潅流した。虚血にすると心拍動はとまり、再潅流によって心臓は動き始めたが、収縮期のLVPとともに拡張期のLVP(EDP)が著明に増大した。虚血開始直前の5分間または再潅流直後の5分間にMgSO_4の15mMを潅流液中に与えた。虚血前のMgSO_4投与は再潅流後のEDPの上昇に殆ど影響を与えなかったが、再潅流後のMgSO_4投与は再潅流後のEDPの上昇を有意に抑制した。さらに、虚血-再潅流による心筋ATPの低下も再潅流後のMgSO_4投与によって有意に抑制された。 以上の2つの実験から、カルシウム拮抗薬ばかりでなく、マグネシウムも虚血心筋保護作用のあることが明らかとなった。
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