研究概要 |
脳内のGABA_A及びGABA_B受容体の構造と機能について分子遺伝学的及び分子薬理学的研究を行い、次の研究成果を得た。1)ヒト脳内GABAA受容体αサブユニットは、456個のアミノ酸からなり、その配列はウシ脳の場合と相同性が高い。2)ヒト脳には単一のmRNA(45Kb)が存在する。3)ヒト脳GABA受容体αサブユニットはエキソンーイントロン構造を有する。4)ヒト脳GABA_A受容体αサブユニットは、4個のクロライドイオンチャンネルを構成している。5)ヒト脳GABA_A受容体αサブユニットmRNAをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入することにより、機能発現が認められる。6)ラットやマウスの脳では、4.1K及び4.6Kの長さを持つ2つのmRNAからGABA_A受容体α,サブユニットが発現している。7)バクロフェンアフィニティ-カラムクロマトグラフィ-により、約13000倍のGABA_B受容体の精製が可能である。8)GABA_B受容体はGi又はGo蛋白を介して、アデニレ-トサイクレ-ス,イノシト-ル燐酸代謝系及びカルシウムチャンネルと負の共役をしているが、これらの共役は可溶化、精製することにより消失する。9)GABA_B受容体は分子量80Kdaの糖蛋白である。10)GABA_A受容体では、作働薬への長期曝露により脱感作現象が出現するが、これらの変化はmRNAの発現低下に起因する。11)精製GABA_A受容体及びGABA_B受容体共に、リン脂質膜上で機能的再構成が可能である。12)精製したGABA_A受容体及びGABA_B受容体の蛋白をBalb/cマウスに投与し、得られたそれぞれのクロ-ンをスクリ-ニングすることにより、各受容体に対するモノクロ-ナル抗体(GAーl:IgE型、GBーl:IgM型)が得られる。13)精製したGABA_A及びGABA_B受容体を諸種の薬物により前処理したのちに人工膜上で再構成することにより、これらの薬物の各受容体に対する直接作用を明確に解析できる。
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