生後三日胸線摘出を受けたBALA/c及びDBA/2マウスの二ケ月後に於ける抗胃壁細胞抗体産生を伴う胃炎発症頻度は、各々51〜71%及び3%であった。 両系のrecombinant inbred lines 11系統中、好発系(H)は4、中間系(M)3、嫌発系(L)4であり、26の遺伝子marker解析によってH系はBALB/c染色体1上のMIsー1^aと、同じく2上のHc^1 lociを発現し、M及びL系はその一つ或は両方がDBA/2由来である事が明かにされた。 更に、BALB/c及びH系マウスの胃炎発症率がMlsー1^a細胞を移入されると100%になる事、Mlsー1^aーresponding T cellsが高率に用いるVβ6ーTCRを発現するT細胞が胃炎を発症したH系のみに認められる事等からeffector T cellsによって認識される胃壁細胞抗原とMlsー1^a抗原との共通性が示唆された(以上初年度)。 自己免疫性胃炎の発症機序とMls抗原の関係は胃炎発症BALB/cマウスにMlsー1^a反応性Vβ6陽性T細胞が増加し、且つそれらのマウスから13株/20株の高率でMlsー1^a反応性ーVβ6陽性T細胞クロ-ンが確立された事からも示唆された。 これからのクロ-ンはすべてMlsー1^a抗原と共通抗原性があるといわれるStaphylococcal enterotoxinsに反応して増殖し、且つその中の2株はin vitroに於てマウス胃壁細胞に反応して増殖し、nu/nuマウスへの移入によって、1週後胃壁細胞抽出液に対するDTH(足しょう)反応を誘導し、4週後には弱いながら胃局所における単核球を伴う胃壁細胞傷害と抗胃壁細胞抗体産生を荵起する個体も一部に認められた。 これらの所見は胃壁細胞自己抗原とMlsー1^a抗原の直接あるいは関接敵関連性の存在を窺わせるが、我々の作製したモノクロナ-ル抗原壁細胞自己抗体3種の内、2種は種をこえて胃壁細胞のproton pump(H^+/K^+ーATPase)のα及びβ鎖をそれぞれ認識している事が精製蛋白を使う事によって確認された。 更に、この抗体によって精製された琢胃壁細胞β鎖を基にして、β鎖の遺伝子構造と一次構造が決定された(以上2年度)。 胃壁細胞自己抗原とStaphy lococcal enterotoxins間の共通エピト-プを確定しMlsー1抗原の実体と生物学的意味を明かにする事が今後の目標である。
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