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1989 年度 実績報告書

タンパク合成能に依存した多核白血球の新しい機能

研究課題

研究課題/領域番号 01480166
研究機関熊本大学

研究代表者

吉永 秀  熊本大学, 医学部, 教授 (90040196)

キーワード炎症 / 多核白血球 / タンパク合成能 / RNA合成能 / IL1 / 差し引きライブラリ-
研究概要

炎症局所に滲出した多核白血球(PMN)の示す転写及び翻訳活性と、それに基づくPMNの炎症局所での機能について調べることを目的とし、ウサギ腹腔のカゼイン炎症をモデルとして用い、本年度は以下のような実験成績及び結論を得た。
1.炎症滲出細胞を採取直後に^3Hウリジン又は^3Hロイシンで3時間パルスし、その後密度勾配遠心によりPMNを精製し、そのRNA及びタンパク合成能の発現を測定した。その結果、PMNは検索した炎症の全期間(24時間)に亘り、RNA、タンパクいづれの合成能も発現しており、とくに炎症早期(12時間まで)と後期(12ー24時間)を比べると、後期のPMNは高いRNA合成に比べ低いタンパク合成を示し、PMNは炎症早期と後期とでは、その生合成の状態にちがいのあることが判明した。
2.炎症滲出PMNによって合成されるタンパクを^<14>Cで標識後、このなかから遊離されうるタンパクを、カオリン刺激により培養上清中に遊離させると、新しく合成したタンパクのうち約3%が遊離され、残りは胞体内に止まるものであることが判明した。
3.PMNが炎症早期に確実に産生しているのであろうと我々が考えてきたインタ-ロイキン1(IL1)について、そのmRNAの発現をみると、炎症2時間をピ-クとし、9時間では消失するmRNAの消長が明らかになり、さらにその翻訳産物であるIL1を免疫染色によりPMN胞体内に証明することで、この因子のPMNによる合成に確証を与えた。
4.炎症早期及び後期のPMNから、それぞれmRNA分画を採取し、ファ-ジプラスミドを用いて2種のライブラリ-を作成し、ヘルパ-ファ-ジを用いて単鎖DNAを作成し、炎症早期と後期の間で差引きライブラリ-を作成することに成功し、炎症早期及び後期に特異的に合成されている物質の構造を検索する準備がととのった。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Goto F.,Goto K.,Mori S.,Ohkawara S.and Yshinaga M.: "Biosynthesis of interleukin 1 at inflammatory site in rabbits:Kinetics and producing cells" British Journal of Experimental Pathology. 70. 597-606 (1989)

  • [文献書誌] Ohkawara S.,Goto F.,and Yoshinaga M.: "Interleukin 1 as an inflammatory hormone" Acta Pathologica Japonica. 39. 85-100 (1989)

  • [文献書誌] Ohkawara S.,Goto K.,Mori S.,Goto F.,Saita N.,Sagara T.and Yoshinaga M.: "Interleukin 1 production by polymorphonuclear leukocytes during the course of acute inflammation in rabbits" Archives of Dermatology. 179. 84-90 (1989)

  • [文献書誌] Goto F.,Mori S.,Goto K.,Ohkawara S.and Yoshinaga M.: "Generation of interleukin 1 at inflammatory sites:Kinetics and producing cells" Journal of Japanese Atherosclerosis Society. 16. 1097-1100 (1989)

  • [文献書誌] 後藤文正,後義久美子,森俊輔,松川昭博,吉永秀: "炎症メディエ-タ-としてのサイトカイン" 炎症. 10. 17-23 (1990)

  • [文献書誌] 相良孝昭,松川昭博,後藤文正,吉永秀: "タンパク合成能に依存した多核白血球の新しい機能" 病態生理. (1990)

  • [文献書誌] 後藤文正,吉永秀: "入来正躬編「発熱症候群」中の2章「ペプチド性発熱物質」及び「病的条件における発熱因子とその生物作用」を分担" 文光堂, 38 (1989)

  • [文献書誌] 吉永秀: "山村雄一編「最新免疫学」中の1章「好中球由来の免疫調節因子」を分担" 同文書院, 15 (1989)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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