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1989 年度 実績報告書

補体抵抗性細菌の抵抗機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 01480178
研究機関大阪大学

研究代表者

井上 公蔵  大阪大学, 医学部, 教授 (10028300)

研究分担者 洪 卿秀  大阪大学, 医学部, 助手 (30158894)
木下 タロウ  大阪大学, 医学部, 講師 (10153165)
キーワード補体抵抗性 / 食菌作用 / 殺菌作用 / レンサ球菌M蛋白 / R因子tra T遺伝子
研究概要

生体に侵入した細菌の表層で補体が活性化されて菌体表面にC3bやiC3bが結合すると、白血球やマクロファ-ジの補体レセプタ-に結合捕捉されて食菌作用が開始され更にC5から形成されたC5aは強力な走化性因子で白血球やマクロファ-ジを菌の侵入局所へ誘引し、更にC5aレセプタ-を介してこれら貪食細胞を刺激して補体レセプタ-を細胞表面に形成増大させる。又、グラム陰性菌の場合にはその菌体表層外膜上に膜侵襲複合体、C5bー9を形成して膜を障害して直接殺菌する。レンサ球菌M蛋白は古くから抗貪食作用によってこの菌の病原性を発揮することが知られているが、我々はA群溶血性レンサ球菌3型の病原株(M^+菌)とそれに由来するM^-菌を用いてこの菌の表層での補体活性化反応を解析しM蛋白は、補体活性化代替経路でのC3転換酵素形成を著しく阻害すること、又、古典経路ではC3転換酵素形成をそれ程阻害しないがC5転換酵素活性を著しく阻害することを見出した。従ってM蛋白はC3b形成の増幅回路を遮断し更にC5a形成を阻害することにより白血球の局所への誘引と白血球表面の補体レセプタ-形成の正調節を阻害することにより貪食作用を免れて病原性を発揮することを明らかにした。又、大腸菌のR100プラスミドのtra T遺伝子産物は菌の接合に際して表面排除に関与することが知られているが、又、菌に補体抵抗性を与えることが最近知られるようになった。この遺伝子の既知のDNA連鎖構造から合成部分やペプチドTra T{86ー99}を作り、これに対する単クロン抗体を作成した。それを用いてTra T蛋白を追跡して膜画分からTraT蛋白を精製することに成功し、更に精製Tra T蛋白に対する単クロン抗体も作成した。精製Tra T蛋白を補体による溶血系に加えて補体活性化反応での抑制段階を追求し、Tra Tは主としてC6反応段階、又はC5b6複合体形成段階を抑制することを明らかにした。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Kinoshita,T.et al.: "C5 convertase of the alternative complement pathway:Covalent linkage between two C3b molecules within the trimolecular complex enzyme" Journal of Immunology. 141. 3895-3901 (1988)

  • [文献書誌] Inoue,K.: "C5 neoepitopes appearing during activation" Complement and Infection. 6. 219-222 (1989)

  • [文献書誌] Kinoshita,T.et al.: "The low C5 convertase activity of the C4A6 allotype of human complement component C4" Biochemical Journal. 261. 743-748 (1989)

  • [文献書誌] Hong,K.et al.: "Inhibitions of the alternative C3 convertase and classical C5 convertase of complement by group A streptococcal M protein" Infection and Immunity.

  • [文献書誌] Pramoonjago,P.et al.: "Tra T,anticomplementary protein of E.coli R100 plasmid:Monoclonal Antibodies to Tra T and prification of Tra T protein"

  • [文献書誌] Pramoonjago,P.et al.: "Anticomplementary activity of Tra T protein of E.coli R100 plasmid"

  • [文献書誌] Inoue,K.(分担): "Complement System(In vivo manipulation of the complement system)" Springer-Verlag,Berlin, 535 (1987)

  • [文献書誌] 木下タロウ,井上公蔵(分担): "医学細菌学(第5巻)(感染防御における補体の役割)" 菜根出版,東京, 323 (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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