研究課題/領域番号 |
01480183
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
野本 明男 東京都臨床医学総合研究所, 微生物研究部門, 部長 (70112670)
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研究分担者 |
小池 智 東京都臨床医学総合研究所, 微生物研究部門, 研究員 (30195630)
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キーワード | ポリオウイルス / 受容体 / 受容体遺伝子 / 受容体cDNA / 組織特異的発現 / alternative splicing / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
ポリオウイルスの細胞側受容体(PVR)をコ-ドするmRNAとしてこれまでに4種類のmRNAが存在することを明らかにした。4種類のPVR分子のうち、2種類はPVRとしての機能を持つが、他は分泌型分子であり、PVRとしての機能は持っていなかった。4種類のPVRmRNAは、すべてヒト染色体19のq13.1→q13.2に存在するPVR遺伝子からalternative splicingにより生成してくることが明らかになった。PVR遺伝子上のプロモ-タ-を含む転写制御領域と考えられる領域の一次構造および転写開始点を明らかにする目的で、まずmRNAの5'末端をDNA上にマップすることを試みた。しかしながら転写開始点は特定出来なかった。また上流約500塩基中には、明らかにTATAboxと思われる一次構造が存在しないことなどが明らかとなり、特別な転写制御機構が働いている可能性が示唆された。そこでこの転写制御領域の機能が他種の生物でも同様に働くか否かを知るため、ヒトPVR遺伝子全域を持つと思われるコスミドクロ-ンをマウス受精卵に導入し、トランスジェニックマウスを作製した。このマウス個体におけるヒトPVR遺伝子の発現を各臓器におけるmRNAの存否を検討することにより解析した。PVRcDNAをプロ-ブとしたノ-ザンブロット法による解析の結果、PVRmRNAはヒト個体中と同様に、脳や脊髄では強く発現しているが、他の臓器での発現は比較的弱いということが明らかとなった。さらにpolymerase chain reaction(PCR)法による解析の結果、ヒト臓器中で観察されたalternative splicingもマウス臓器中で同様に起きていることが明らかとなった。以上のように、ヒトPVR遺伝子の組織特異的発現調節機構はマウスでも同様に機能することを明らかにしたが、PVR遺伝子の発現調節機構そのものは現在も解析中である。
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