研究概要 |
リンパ球、単球細胞の増殖・分化におけるILー2受容体(ILー2R)の役割を明らかにするために、本研究では先ずILー2Rの第2サブユニットbeta鎖に対する単クロン抗体を2種類(TU27mAbとTU11mAb)調製した。TU27mAbおよび抗alpha鎖単クロン抗体、その他表面マ-カ-に対する単クロン抗体を用いて、末梢血細胞あるいは胸腺細胞の各細胞集団のILー2Ralpha、beta鎖発現を2色フロ-サイトメトリ-法で調べた。beta鎖陽性細胞は末梢CDB^+T,NK,単球マクロファ-ジにみられたが、CD4^+TやCD20^+B細胞では逆にalpha鎖陽性でbeta鎖陰性であった。胸腺細胞においては、CD3^-CD4^-CD8^-のpro T細胞ではILー2Ralpha鎖、beta鎖は共に陰性であった。pro T細胞の中で、TCRalpha^+beta^+CD4^-CD8^-細胞(DN細胞)の殆どがILー2Rbeta鎖陽性で、一部の細胞では強いILー2Ralpha鎖発現がみられた。さらに分化したCD3dull^+CD4^+CD8^+細胞(BP細胞)でもILー2Rbeta鎖性で、一部の細胞では強いILー2Ralpha鎖がみられた。しかし、CD3bright^+DP細胞ではILー2Ralpha鎖、beta鎖が共に陰性であった。また、胸腺細胞の中にもNK様細胞と考えられるNKHー1^+細胞が存在し、この細胞では強いILー2Rbeta鎖の発現に加え、alpha鎖の発現もみられた。 また、活性化T細胞をILー2処理後にTU11mAbで免疫沈降すると、beta鎖に加えて、alpha鎖とさらにp64のgamma鎖と考え得る分子が共沈した。さらに、ILー2処理beta鎖のリン酸化を調べると1分以内にbeta鎖のチロシン残基がリン酸化されることが分かった。これらの結果から、ILー2Rbeta鎖にはgamma鎖およびチロシンキナ-ゼ分子が会合している可能性が示唆され、これら分子の機能的役割も今後解明しなければならない。
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