研究概要 |
これまで我々は低親和性FcεRII/CD23に対するモノクロ-ナル抗体作製及びcDNAクロ-ニングを行ってきたが、今回の申請期間中にはFcεRII/CD23がインタ-ロイキンのみならずPAFやTGFーβなどによっても様々に発現調節される事を示し、さらにこれまで決着のつかなかったヒトT細胞によるFcεRII/CD23産生を証明しその発現調節機構の一端を示すに至り(J.Immunol, in press)病的T細胞に発現するCD23研究に糸口を与えた。また、FcεRII/CD23がEBVによる細胞不死化にともなって強発現する事よりFcεRII/CD23を介したシグナル伝達機構に興味が持たれていたが、我々は、FcεRII/CD23cDNAを遺伝子導入したヒトNK様細胞株YTSERにおいてFcεRII/CD23がチロシン燐酸化酵素fynと会合している事を示し(Proc.Natl.Acad. in press)、さらに内因性にFcεRII/CD23を発現しているB細胞株において、YTSERSF異なるチロシン燐酸化酵素が会合している事が明らかになり今後これら分子の解明を行いFcεRII/CD23を会したシグナル伝達機構の解析を進めて行きたい。また、抗CD23モノクロ-ナル抗体を用いたサンドイッチELISA法による血清中FcεRII/CD23測定のキット化にともないリュウマチやSLEなどの自己免疫疾患等で血清中低親和性FcεRII/CD23が増加する事が明かとなり、そのFcεRII/CD23の病態への関与の仕方を研究する目的で25Kd可溶型性FcεRII/CD23の大量生産を試み(ミドリ十字と共同)産生に成功しつつあり今後はこれらを用いてさらに低親和性FcεRII/CD23の生物学的役割について解析を進めたい。
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