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1990 年度 実績報告書

胸腺におけるT細胞分化誘導機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 01480189
研究機関京都大学

研究代表者

桂 義元  京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (90027095)

研究分担者 藤本 真慈  京都大学胸部疾患研究所, 助手 (60199370)
喜納 辰夫  京都大学胸部疾患研究所, 助教授 (30127071)
キーワード胸腺 / T細胞 / 分化 / ストロ-マ細胞 / サイトカイン
研究概要

胸腺中におけるT細胞の生成の機構とは,単純化して言えば胸腺ストロ-マ細胞がT系列細胞にどのような作用を及ぼすかということである.本研究で明らかになったことは下記のごとくである.
1.胸腺中における最も未成熟なpreT細胞.デオキシグアノシン(dGuo)処理胎児胸腺培養(FTOC)へmicro i.t.法(microinjectorを用いて移入する方法)を用いて胸腺中のいろいろの細胞分画について,そのprecursor活性をしらべた.胸腺中のThyー1^-群は骨髄中のstem cellに近く,これまでに発見された胸腺中のpreTとしては最も未成熟なものであり,骨髄から胸腺へ移行した直後のものと考えられた.
2.T細胞分化増殖におけるマクロファ-ジ(Mφ)の重要性.dGuoーFTOCでのT細胞分化成熟はin vivoにおけるよりかなり遅れる.そこへMφを加えると分化成熟が促進された.樹状細胞(DC)にはその作用がなかった.
3.ストロ-マ細胞とT系列細胞の接着.fibroblast様胸腺ストロ-マ細胞が発現し,T系列細胞との接着に関与する分子(107KDaの糖蛋白)を分離することに成功した.この分子に対するモノクロ-ナル抗体を用いて,接着とT細胞分化の関係について解析を進めている.
4.ストロ-マ細胞とそれが産生するサイトカイン.胎児胸腺由来のfibroblast様ストロ-マ細胞株TStー4は,CD4^ー8^ー未成熟胸腺T細胞をヘルパ-系T細胞へと成熟させる機能を持つ.TStー4はMーCSFとILー7を少量産生している.しかし,ヘルパ-T細胞方向への分化支持は細胞間接着または未知の因子を介して行われるものと考えられた.
5.胸腺内トレランスとDC.Mlsー1^aに対するクロ-ン死滅型のトレランスに関与する細胞をmicro i.t.法を利用して解析した.その結果,DCとB細胞が必要であることが示された.その場合B細胞は単にMls抗原を提供するだけで,機能細胞はDCであることが明かとなった.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kina,T.: "Identification of a 107KDa glycoprotein that mediates adhesion between stromal cells and hematolymphoid cells." J.Exp.Med.173. 373-381 (1991)

  • [文献書誌] Mazda,O.: "Requirement of dendritic cells and B cells in the clonal deletion of Mlsーreactive T cells in the thymus." J.Exp.Med.173. 539-547 (1991)

  • [文献書誌] Gyotoku,J.: "Inhibition of human immunodeficiency virus replication in a human T cell line by antisense RNA expressed in the cell." Virus Genes.

  • [文献書誌] Iwai,K.: "Qualitative difference of antiーDNA antibodyーproducing cell precursors in the preimmune B cell repertoire between normal and lupusーprone mice." Clinical Exp.Med.

  • [文献書誌] 桂 義元: "胸腺ストロ-マ細胞株上でのT細胞分化" 代謝,増刊号(免疫'90). 27. 187-195 (1990)

  • [文献書誌] 桂 義元: "T細胞の初期分化と胸腺ストロ-マ細胞" 血液・腫瘍科. 21. 233-243 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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