研究課題/領域番号 |
01480192
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 彰方 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60161551)
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研究分担者 |
西村 泰治 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (10156119)
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
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キーワード | HLA / 発現調節 / プロモ-タ- / TNF / IFN / トランスジェニックマウス / DNAタイピング / 自己免疫疾患 |
研究概要 |
グリオブラスト-マ細胞株において、インタ-フェロン存在下にHLAーDQA遺伝子の転写を促進するTNFは、DQAプロモ-タ-に特異的に結合する核蛋白NFーTRSを誘導する。NFーTRSはDQAプロモ-タ-上の2箇所に結合するが、そのうち1箇所はHLAクラスII遺伝子群に共通して作用する正の転写因子NFーYの結合部位と重複している。DQA遺伝子の転写活性は他のクラスII遺伝子群に比して低いが、この低転写活性はNFーY結合部位におけるG→A塩基置換に依存していた。合成オリゴヌクレオチドプロ-ブを用いたゲルシフトアッセイにより、DQA遺伝子特異的なNFーY結合部位内の塩基置換は、NFーYとNFーTRS間の競合に重要であり、DQA遺伝子の低転写活性とTNFによる転写誘導の両者を規定することを明らかにした。さらに、DQAプロモ-タ-における遺伝的多型性を解析し、9種のアレルの存在と、各アレルとDRBハプロタイプとの連鎖不平衡の存在を明らかにし、また各プロモ-タ-アレル毎に転写活性ならびにサイトカインによる転写誘導性が異なることを見出した。一方、HLAクラスII遺伝子群の遺伝的多型性をPCRーSSO法を用いて詳細に検討し、日本人集団中での各対立遺伝子頻度を推定した。この手法を用いて若年性糖尿病、慢性関節リウマチ、Graves病、高安病、ベ-チェット病などの疾患感受性と強い相関を示すHLAクラスII対立遺伝子を同定した結果、これらの自己免疫疾患の発症には、特定のHLAクラスII遺伝子とクラスI遺伝子の両者が必要であることを明らかにした。また特定のHLAクラスII遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製し、HLAの導入によりマウスの免疫応答性ならびにT細胞レパ-トリ-の変化が、HLA遺伝子の発現量および発現の細胞特異性に依存して起こり得ることを観察した。
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