T細胞の分化と免疫応答に関与するリンパ球機能分子の分子遺伝子学的解析

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01480194
• 研究機関: 順天堂大学
• 研究代表者: 奥村 康 順天堂大学, 医学部, 教授 (50009700)
• 研究分担者: 小端 哲二 順天堂大学, 医学部, 講師 (10205445) ; 八木田 秀雄 順天堂大学, 医学部, 助教授 (30182306)
• キーワード: CD2 / LFA / VLA / TcR

研究概要

1.マウスのCD2をコ-ドする遺伝子とCD2に対するモノクロ-ナル抗体を用いることによって、胸腺におけるT細胞の初期分化においてCD2の果たす役割は、ヒトの場合に想定されていたものと異なり、最も未熟なT細胞には表現されておらず、CD2の刺激を介してILー2Rの発現は見られなかった。またマウスの細胞株を用いた実験から、CD2の発現は、T細胞の抗原との反応を著しく高感度に、キラ-細胞活性も高度に増強することを直接証明することができた。
2.マウスのVery Late Activating(VLA)分子に対するモノクロ-ナル抗体の作製に成功し、この抗体を用いてT細胞膜表面のVLA分子の役割を明らかにすることができた。ヒトの場合と同様に細胞外マトリックスとの結合に関与することも直接証明することができたが、マウスの実験系を用いることによりキラ-T細胞と標的、特に標的細胞表面に細胞外マトリックス様分子が証明される場合、VLAを介した結合が極めて重要な役割を担うことを明らかにした。
3.VLAを介するシグナルは、T細胞においてT細胞の抗原レセプタ-からのシグナルと細胞内で干渉し合うことを明らかにした。また、条件によってはVLAを介するシグナルだけでも充分T細胞を活性化し得ることも示すことができた。

研究成果

• [文献書誌] Tetsuji Kobata: "Thyー1 positive dendritic epidermal cells contain a killer protein perforin." Int.Immunol.2. 1113-1116 (1990)
• [文献書誌] Tetsuya Nakamura: "Relative contribution of CD2 and LFAー1 to murine T and Natural Killer cell functions." J.Immunol.145. 3628-3634 (1990)
• [文献書誌] Kazuhisa Takahashi: "A murine very late activation antigenーlike extracellular matrix reseptor involved in CD2^- and lymphocyte functionassociated antigenー1ーindependent killirーtarget cell interaction." J.Immunol.145. 4371-4379 (1990)
• [文献書誌] Motomi Nakata: "Constitutive expression of poreーforming protein in perpheral blood γ/δ Tcells:Implication for their cytotoxic role in vivo." J.Exp.Med.172. 1877-1880 (1990)
• [文献書誌] Tetsuya Nakamura: "Activation of a NK clone upon target cell binding via CD2." Eur,J.Immunol.
• [文献書誌] Kazuhisa Takahashi: "Antigenーindependent T cell activation mediated by a VLAーlike extracellular matrix receptor" Eur,J.Immunol.