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1991 年度 実績報告書

トリクロロエチレンによる新しい健康障害ー腸管嚢腫様気腫ーに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 01480198
研究機関山梨医科大学

研究代表者

佐藤 章生  山梨医科大学, 医学部, 教授 (40020747)

研究分担者 田坂 捷雄  山梨医科大学, 医学部, 助教授 (40093265)
キーワードトリクロロエチレン / 腸肝嚢腫様気腫 / 強皮症 / メタノ-ル / 職業病
研究概要

1)長野県における腸管嚢腫様気腫の新規発生例を調査したところ、トリクロロエチレンとメタノ-ルの混合暴露がこの病態の発生に関連している可能性が大きいという結果が得られたので、両者を単独あるいは混合して経口的に与え、腸管の変化を観察した。バリウム注腸・X線検査では腸管に特記すべき変化は認められなかったが、トリクロロエチレンあるいはメタノ-ルを与えたラットの腸管(下降結腸)の粘膜下組織あるいは漿膜下組織に浮腫が認められた。同一部位から採取したコントロ-ル群には全く認められなかったので、この変化はトリクロロエチレンあるいはメタノ-ルの投与によって起こったものと思われる。しかし、この変化が腸管嚢腫様気腫とどのような関連にあるのか不明である。
2)続発性腸管嚢腫様気腫が進行性全身性硬化症などのいわゆる膠原病に発生が多いことから、トリクロロエチレンによる腸管嚢腫様気腫の発生には免疫学的機構の介在する可能性がある。自己免疫患誘発マウス(MRLlpr/lpr)を用いて、トリクロロエチレン暴露(4時間/日、6日/週、8週間)による免疫学的変化を観察した。暴露群の血清IgG濃度はトリクロロエチレン暴露によって量依存的に低下した。また、血清IgM濃度はコントロ-ル群に対して2000ppm群において有意に低下した。血清IgA濃度は暴露群とコントロ-ル群の間に有意の差を認めなかった。一方、2000ppm暴露群のHelper T cell/Suppressor T cell比はコントロ-ル群に比べて有意に低下していた。すなわち、500ppmと1000ppmのトリクロロエチレン暴露ではIgG産生能の低下が起こるもののT細胞の機能には変化は認められなかったが、2000mmp暴露になるとT細胞の機能低下も認められるようになった。このトリクロロエチレンによる免疫学的変化が腸管嚢腫様気腫の発生とどのように関連するのか今後の検討課題である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 藤口 憲泰,中平 浩人,山本 正治,渡辺 厳一,鳥山 治康,佐藤 章夫: "トリクロロエチレン使用者の健康調査結果について" 新潟医学会雑誌. 105(2). 125-132 (1991)

  • [文献書誌] Owa O,Akamatsu T,Matsuda Y,Matsuo K,Hasebe O,Ushimaru H,Mukawa K,Kamijo T,Fujimori Y,Furuta S,Nasu T,and Sato A.: "A case of pneumatosis cystoides intestinalis associated with trichloroethylene developing typical features during the followーup of undetermined sigmoid lesions." Digestive Endoscopy. 3(4). 560-564 (1991)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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