研究概要 |
1、環境衛生学的な観点から複合影響を評価する系として、ラット潅流肝臓系を作成した。定常状態時において酸素消費率は1.92± 0.34umol/g liver/minであった。また、エピネフリン受容体も正常に機能していたことから、作成した潅流肝臓は生理的状態を長時間保持し、今後の実験に供するに充分な系であると結論した。2、同様にラット潅流賢臓系を作成した。潅流賢臓のエネルギ-産生系に対して基質として寄与する程度が大きいと考えられる Lー乳酸、αーケトグルタル酸を潅流液に組み込むことは、賢臓を生理的状態に保持するために効果的であると考えられた。両物質とグルコ-ス、アスパラギン酸ナトリウムを添加した潅流液を用いて作成した潅流賢臓系は、生理的状態を長時間保持し、今後の実験に供するに充分な系であると結論した。3、肝臓におけるトリクロロエチレン代謝は実際の血中濃度として存在しうる10nMエピネフリンによって、こう進されることが示唆された。4、エタノ-ルによってスチレン肝取り込み率は抑制された。また、栄養状態によって、この取り込み率が変化する可能性が示唆された。5、(1)フルフェナム酸は肝臓におけるエタノ-ル代謝を抑制することが明かとなった。これは、ALDH活性に対する阻害物応による可能性が強いと推測された。また、エタノ-ル酸化反応におけるフルフェナム酸の影響は栄養状態によって変化することが示唆された。(2)非ステロイド系抗炎症剤によって、賢細胞内エネルギ-代謝動態に変化を引き起こす可能性が示唆された。特に、顕著な変化を示したフルフェナム酸においては、Na,Ca再吸収率が大きく減少した。これは、アンカップリング作用によってATP産生が抑制された状態の賢尿細管細胞内では、エネルギ-依存性イオン輸送系の機能が低下し、その結果、細胞内イオン濃度が上昇することにより再吸収率の低下がもたらされたものと推察された。
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