研究概要 |
長期追跡調査の対象者として、平成元年度までに確保できた4,000名に加えて、平成2年度には約22,000名の勤労者を追跡調査する体制ができた。これで当初目標の5,000名を越える対象者を確保することができた。追跡調査の方法としては、郵送法による自記式質問票を用いた調査を引き続き実施した。調査項目として健診後の医療機関受療状況とその理由、転帰について把握した。さらに、今年度の調査では、喫煙、飲酒、食生活など、成人病の発症に関連があるとされるライフスタイルが、健診時の生活指導によってどの程度改善し得るかについて、自記式質問票によって調査を行った。収集した情報のデ-タベ-ス化を終え、解析を行っている。約22,000名の勤労者の追跡調査の方法としては、医療機関を受診した際の診療報酬明細書の情報を利用する方法を現在開発中である。診療報酬明細書は個人ごと、医療機関別に一か月単位で報告される情報のデ-タベ-ス化を既に終えた。また、健康診断の情報とレコ-ドリンケ-ジを行う方法としては、健康保険証番号を個人識別コ-ドとして利用する方法を確立した。健康診断の検査結果の分析としては、個人別の経年変動のデルタ値解析、変動係数による分析等を通じて、検査結果の安定性を考慮にいれた精度管理の方法を検討した。また、健康診断の情報と医療機関受療状況の情報を関連づけた分析では、健康診断で要精検となり、医療機関の受診を指示された者が、その後どのような行動パタ-ンをとるかについて問題点の整理を行った。特に、糖代謝異常と肝機能異常を例として、食生活、飲酒等の改善の成否に影響する因子の分析を行った。
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