Concoravalin Aで刺激したBALB/C マウスの脾細胞とAKR/Jマウス胸腺腫枝由来のBW5147細胞との細胞融合により作製した抗原非特異抑制因子産生株E17細胞を大量培養(total5000ml)した。この培養上清をハイドロキシル・アパタイトにより大部分の蛋白成分を除き、目的のモノクロ-ナル抗原非特異抑制因子(以下、MNSF)を粗精製した。次に高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)により、HAー1000カラム(東ソ-)を利用して0.35M Naphosphate溶出分画を回収した。さらに抗MNSFモノクロ-ナル抗体を利用した、アフイニティ-・クロマトグラフィ-を行ない、0.2M グリシンーHCIバッファ-により溶出した分画を10mM Naphosphate バッファ-(pH7.0)でよく透析後、逆相HPLC(ODSー120Tカラム及びphenyl5pw、東ソ-)により、アセトニトリルITFE、0.05%で単離・精製した。この精製MNSFは SDSーポリアクリルアミドゲル電気泳動により、分子量約11kdの単一な物質であることが示された。このMNSF 100pM(約11μg)のアミノ酸配列自動分析装置によるNH_<2->末端アミノ酸配列の決定を試みたところ17残基の配列が明らかになった。既知のリンホカインおよび他の蛋白質の配列と比較検討したところ、MNSFは全く新しい因子であることが判明した。しかしながらtrausforming growth factor(TGFーβ_2)とは60%以上の高い相同性を示したことは両者とも非特異抑制因子であることから興味深い。現在、MNSFの構造遺伝子の単離を試みているが、以下の理由から満足のいく結果が得られていない。i)オ-ト・クリンによる自己制御によりT細胞ハイブリド-マのmRNAの発現が抑制されている。ii)17残基のうち3残基が2〜3のアミノ酸残基の候補があり、今だ確たる配列Dataが得られていない。iii)MNSFの強い凝集性が分析を非常に困難なものにしている。一般に、抑制因子の研究が遅れている原因は上記のごとく共通しているようであるが、この壁を破るべくPolymelase chain reaction(PCR)等を用い分析を急いでいる。
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