研究課題/領域番号 |
01480221
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
江藤 澄哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (90010347)
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研究分担者 |
白川 文彦 産業医科大学, 医学部, 助手 (10158967)
山下 優毅 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00028680)
織田 進 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80035237)
千葉 省三 産業医科大学, 医学部, 教授 (50010450)
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キーワード | ATL / 高カルシウム血症 / IL1 / 骨吸収促進因子 |
研究概要 |
1)成人T細胞性白血病(ATL)患者30数例のうち、高Ca血症の来たした症例は70%強に対し、ATL細胞の増殖とほぼ一致して高Ca血症は増減した。2)ATL細胞およぴATL株細胞(MT2)の増殖は培養液のCa濃度依存性に増加し、14mg/dlという異常高値でピ-クを示したが、ATL以外の白血病株細胞ではかかる現象はみられなかった。上記の異常高Ca濃度下における増殖はCaチャンネル拮抗剤は、カルモデュリン拮抗剤によって是定された。すなわち、ATL細胞の増殖にとっては異常高Caがむしろ好条件を提供していることが示唆された。3)高Ca血症の惹起因子の検討については、細胞培養上清をカラムにかけ、各分画についき骨吸収活性はRaiszの方法で、IL1活性はマウス胸腺細胞の増殖でみた所、両者はピ-クは一致し、また、MT2細胞内にIL1mRNAを確認し得たことより、ATL細胞より放出される骨吸収促進因子の一つはIL1であることが判明した。4)さらに抗体を用いてIL1の産生と骨吸収活性への影響をみた所、前者は抗IL1抗体によって80%強の抑制率、後者は60%程度の抑制をみたが、抗IL1βでは抑制されなかった。以上より、ATL細胞の産生するILはα型であると考えられたが(β型のATLに関する他の報告もあり)、骨吸収促進因子についてはPTH様物質の関与も十分考えられ、目下、検討中である。5)IL1がATL細胞を増殖させることは知られているが、IL1自体の産生も異常高高Ca濃度下で促進されるとの予備的成績を得た。 6)したがって、ATLでは細胞由来IL1の骨吸収活性による高Ca血症は細胞増殖、ひいてはIL1の産生にも好条件を提供し、さらに高Ca血症を増悪させるという一種の悪循環の存在が推定される。
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