研究概要 |
1.ATL患者におけるPTHrPの測定 悪性腫腸における高Ca血症惹起因子の中でも最も重要な因子であるPTHrPを末端測定RIA法を用いてATL患者の血中・尿中の値につき検討を行なった.先ず血中PTHrP値はHTLVー1キャリア-では陰性であった.高Ca血症群ではでは全例高値列で異常高値例が多かった.正常Ca値群では約25%の症例で中等度の高値を示したが,この症例はその後,いずれも高Ca血症を発症した.これに対し局所的骨融解によって高Ca血症が惹起されるLOH群,さらに原発性副甲状腺群では,いずれも正常範囲で,血中PTHrPの測定は高Ca血症の鑑別とATLにおける高Ca血症の発現予測に有用と考えられた.一方,尿中では高Ca血症群に比し,値はやゝ低いものの正常Ca値群でも全例で高値を示した.たゞ,急性発症型や白血病クリ-ゼ型では高値であるのに対し,慢性型,くすぶり型では正常で,尿中PTHrPの測定が病勢の把握に有用であることが推定された. 2.ATL患者におけるPTHrP産生に関するIL2の関与 新鮮ATL細胞培養上清中にIL2を添加したところ,PTLrP分泌は濃度依性に増加し,また,細胞内PHTrPmRNAの発現も増加したことによりIL2がATL細胞のPTHrP産生・分泌とそれに続発する高Ca血症に重要な関与をしていることが示唆された. 3.IL4の高Ca血症抑制作用 既にIL4がin vitroで骨吸収抑制作用を有することは報告したが,マウスにPTHrPを投与して,あるいはヒト高Ca血症惹起癌を移植して高Ca血症を再現させたヌ-ドマウスにIL4を投与した所,高Ca血症が是正された.ATLにおいてもIL4が高Ca血症の度合を修飾している可能性が示唆される.(ATL細胞よりIL4は産生される)
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