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1990 年度 実績報告書

アルコ-ル性肝硬変を母地として発生する肝細胞癌の発癌機序

研究課題

研究課題/領域番号 01480224
研究機関関西医科大学

研究代表者

井上 恭一  関西医科大学, 医学部第三内科, 教授 (10018335)

研究分担者 樋口 清博  富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (00135021)
キーワードアルコ-ル性肝硬変 / 肝細胞癌 / cーmyc / 脱メチル化 / HCV
研究概要

目的および方法:アルコ-ル性肝硬変を母地として発生する肝細胞癌(HCC)の発癌機序を解明する目的で、HCC症例肝組織の腫瘍部および非腫瘍部組織より抽出したDNAについて細胞癌遺伝子cーmycの脱メチル化の状態を検索し、飲酒との関連を検討するとともにアルコ-る多飲者91例におけるC型肝炎ウィルス(HCV)の感染状況についても検索した。成績:I.cーmycの脱メチル化(1)HBsAg(+)HCCでは、非飲酒者(N)5例(45%)、飲酒者(A)4例(100%)に第2エクソンの完全脱メチル化を、第3エクソンでは各々5例(36%)、3例(75%)に低メチル化を認めた。HBsAg(-)HCCでは、N11例(79%)、A7例(100%)に第2エクソンの完全脱メチル化を、第3エクソンでは各々5例(36%)、4例(57%)に低メチル化を認めた。以上より、HBsAgにかかわらず、Aに高頻度にメチル化の低下を認めたが、AとNの間には有意差はなかった。(2)HBsAg(+)LCでは、第2エクソンでN1例(50%)、A1例(100%)に完全脱メチル化がみられた。HBsAg(-)LCではN2例(67%)、A6例(86%)であった。第3エクソンの脱メチル化は1例もなかった。以上より、NとAの間、有意差はないものの、HCC同様、Aに脱メチル化は高頻度であった。(3)正常肝では第2,3エクソンともメチル化の低下はなかった。II.cーmycの発現は、正常肝に比し、HCCで増加していたが、AとNの間で差はなく、脱メチル化とも有意な差はなかった。III.ELISAによる検索結果ではアルコ-ル多飲者のHCV抗体保有率は91例中27例で、非特異反応、脂肪肝例、肝線維症例では陽性率は低かったが、肝硬変例では31例中9例(29.0%)、HCC症例では20例中10例(50%)と高率で、RIA法による再検では非腫瘍性疾患で陽性17例中7例が陰性となったが、HCC例で陰性化例はなかった。結論:Aではcーmycの脱メチル化傾向をみたが、cーmycの発現と飲酒の関連はみられず、むしろHCV感染との関連が深かった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Aiba N.;Nanbu S.;Inoue K.;Sasaki H.: "Hypomethylation of cーmyc oncogene in liver cirrhosis and chronic hepatitis." Gastroenterol Jpn. 24. 270-276 (1989)

  • [文献書誌] 井上 恭一,康山 俊学,高橋 照美: "アルコ-ル性肝線維症" 消化器科. 13(2). 155-160 (1990)

  • [文献書誌] 康山 俊学: "アルコ-ル多飲者とHCV感染" 日本臨牀. 49(2). 179-185 (1991)

  • [文献書誌] 井上 恭一,康山 俊学,高原 照美,中山 義秀: "アルコ-ル性肝障害の病態・経過・予後" 奥村 恂,高田 昭,谷川 久一, 241 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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