研究課題/領域番号 |
01480226
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 信紘 大阪大学, 医学部, 講師 (90028358)
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研究分担者 |
福井 弘幸 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
片山 和宏 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
佐々木 裕 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
吉原 治正 大阪大学, 医学部, 助手
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キーワード | 肝微小循環 / 肝血流 / 肝酸素化 / 白血球 / アルコ-ル性肝障害 / 薬剤性肝障害 / 虚血性肝障害 |
研究概要 |
本年度はラットのアルコ-ル、薬剤(四塩化炭素CCl_4、ガラクトサミンGalN)、虚血による急性細胞壊死過程での肝微小循環及び細胞膜機能の動的変化を可視の生体顕微鏡と画像処理・分光分析システムを用いて経時的、定量的に解析した。本手法により肝臓のin vivo超拡大観察(2000〜4000倍)、2〜3次元の微小循環系での各血球成分の循環動態の観察が可能となり、肝類洞内赤血球速度(EFV)や1本1本の類洞内血液ヘモグロビン酸素飽和度(SO_2)を分光学的に計測し得た。アルコ-ル小量投与ではEFV、SO_2のspacial及びtemporal variationが増大し、SO_2の低下する部位がみられ、大量投与では中心静脈(PC)域でのSO_2の著減、hypoxia部位が出現する事が判明した。又、このhypoxiaの出現は接触型微小酸素電極(径15μm)による肝表面局所酸素分圧の測定からも確認できた。本システムを用いることにより、蛍光物質フルオレスセインNa(fluor-Na)の類洞→肝細胞→毛細胆管への移送過程の解析が可能となり、アルコ-ル大量摂取によりfluor-Naの毛細胆管への排出はPC域で著しく障害されていた。これらの事実は大量飲酒により肝小葉内シャントが生じ、PC域の局所的な酸素欠乏を来して肝細胞障害が惹起される可能性が考えられた。CCl_4障害肝では投与2時間後から内皮細胞の腫大、白血球のrolling現象・壁粘着・塞栓が出現した。又、EFVの低下、SO_2の低下が門脈(PP)域及びPC域で認められ、これら微小循環レベルでの障害が肝細胞障害に先行して出現した。GalN障害肝でも投与48時間後でEFVの低下、SO_2の低下が不均一に認められ、これらの薬剤による肝微小循環の障害が肝細胞障害の一因である可能性を示した。ラット左肝動脈、門脈左枝を完全結した部分肝虚血モデルでは、血流再灌流後早期から類洞内での白血球の粘着・塞栓やEFV及びSO_2の低下が不均一に認められ、虚血再灌流肝障害に肝微小循環障害が関係する事が示唆された。
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